◆平成23(2011)年10月21日 読売新聞
震災子ども支援室 開設 東北大 10年間担当継続 相談対応=宮城
震災で親を亡くした「震災遺児」を支援しようと、東北大学(仙台市)は震災子ども支援室(室長・加藤道代教授)を開設した。子どもや里親の相談に乗るなど、10年間の長期支援にあたる。
厚生労働省によると、9月末現在、震災で両親が犠牲になった18歳未満(震災当時)の子どもは全国で237人、片方の親を失った子どもは1323人に上る。このうち県内の遺児はそれぞれ126人、712人と半数以上を占める。支援室は同大大学院教育学研究科に9月に設置された。「長期間にわたり東北地方の震災遺児の支援をしてほしい」という1人の個人から寄付金を受けたのがきっかけになった。現在は準備期間で、来年1月から本格始動する。外部の遺児支援サービスの紹介、遺児に関わる里親や教員などへの研修から始め、子ども本人や里親の個別相談にも対応する。2人の臨床発達心理士が10年間、担当を代わらずに長期支援にあたるのが特徴だ。開設を記念し、11月12日午後1時から、遺児の支援について大学教授や支援団体による参加無料のシンポジウムを同大で開催する。支援室への問い合わせはファクス(022・795・3263)か、電子メール([email protected])へ。
◆平成23(2011)年10月21日 読売新聞 大阪夕刊
虐待防止 民間の力を 福祉司ら対応会議出席 児相OBを市町村派遣
◇子供を守ろう
◇大阪府・市 協力求める
大阪府内の自治体が、民間機関とタッグを組み、児童虐待の対応強化に乗り出している。大阪市が、個別ケースの会議に経験豊富な民間の専門家を招く異例の取り組みを始めたほか、府も市町村に専門家や児童相談所OBらを派遣している。児童福祉法改正で、2005年度から虐待の相談窓口が市区町村にも広がったが、専門職員の不足など課題も多く、見極めを誤って深刻な事態に陥るケースを防ぐのが狙い。厚生労働省も「自治体の体制はまだ十分に整っているとは言えず、民間の力も活用しながら地域全体で対応してほしい」と注目している。
大阪市は、虐待の通報を受けた場合、保健所や警察、学校などでつくる連携機関「要保護児童対策地域協議会」でケース会議や事例検討会を開き、今後の援助方針や支援計画などを立てる。昨年度は約800回開催されたが、専門知識の不足などから方針決定や計画立案の際、担当者が不安を抱く場合もあったという。このため、市は7月、虐待対応の経験が豊富な児童福祉司や児童心理司、弁護士らでつくるNPO法人「児童虐待防止協会」(大阪市中央区)に委託。守秘義務を課した上で、会議や検討会に招いてアドバイスを受けているほか、各区で行われる研修会で講師を務めてもらっている。大阪府も市町村の要望を聞き取り、同月から同協会のメンバーや児童相談所のOBらを派遣。親への対応方法などを指導してもらっている。今後3年で全市町村に派遣するという。一時保護などが必要な案件は児童相談所、子どもを家庭においたままでも支援が可能な軽微なものは市区町村が対応する。全国で09年度、市町村があたった相談対応件数は5万6606件で、児童相談所の4万4211件を大幅に上回った。同府寝屋川市で昨年3月に起きた女児の虐待死事件では、あざなどの報告が市の実務者会議にあがりながら、虐待事例と判断できなかった。同協会理事長の津崎哲郎・花園大特任教授は「今回の取り組みは行政と民間が連携して虐待対応にあたる新しい形で、今後、全国に広げていきたい」と話している。
◆平成23(2011)年10月21日 日本経済新聞
子供の就寝時間、母子家庭は遅い傾向 厚労省調査
母子家庭で育つ子供(小学3年)の登校日の就寝時間は両親と同居する家庭よりも遅いことが21日、厚生労働省の調査で分かった。母子家庭は母親が働いている影響で子供の夕食の時間が不規則になる傾向があり、同省は「夕食が遅いことが影響しているのではないか」と分析している。
厚労省が2001年に生まれた子供の発育や生活状況を追跡する「21世紀出生児縦断調査」で判明。今回で9回目。昨年、小学3年となった子供約3万7千人に調査票を配布し、約3万5千人の保護者から回答を得た。両親と同居する家庭の子供の就寝時間は「午後10時台」「午後11時以降」が計21.7%だったが、小学校入学後に母子家庭となった子供は同29.9%、小学校入学前から母子家庭だった子供は同31.0%に上った。どの家庭でも「午後9時台」が最も多く、就寝時間は全体的に遅くなっていた。子供の夕食で「時間が不規則」と答えた母子家庭は11.8%。両親と同居する場合の10.3%に比べ1.5ポイント多かった。今回の調査で子供が両親と同居する家庭は71.1%、母子家庭は4.8%だった。
◆平成23(2011)年10月20日 朝日新聞 大阪朝刊
傷ついた10代、底支え 民間「シェルター」各地に開設 【大阪】
虐待を受けるなどして行き場のない10代後半の若者が一時的に暮らせる「子どもシェルター」が、各地に生まれている。公的な財政支援が今夏決まり、開設に弾みがつきそうだ。
首都圏に住む女性(22)は実父からの性的虐待から逃れるため、17歳の時に「カリヨン子どもの家」に駆け込んだ。2004年、弁護士や福祉関係者が東京に設立した民間初の子どもシェルターだ。制服と下着と洋服2、3着だけを持ちだしていった先は古い一軒家。入居したばかりの頃は「大人がつくりあげた家庭のにおいがつらかった」。ボランティアスタッフや弁護士の言葉が信じられず、心を閉ざしていた。だが、スタッフらは「ありのままでいい」と言い続けてくれた。「信用できる大人も、実はいるのかもしれない」と思うようになった。約2カ月後、自立援助ホームに移った。女の子数人との同居生活だ。「おかえり」と言ってくれる人がいる。夕飯の香りが漂い、仲間と食事して、その日のことを話す。太陽のにおいがふんわりしみ込んだ布団で眠る。そんな生活の中、面白いことを面白いといって笑える自分が戻った。自立援助ホームを卒業してからは、小さな会社に就職して事務の仕事を続けている。「父親と同じ血が流れている自分には生きる価値はない」。そんな思いでやめられなかったリストカットも止まった。離婚後、音信不通だった母親とも会うようになり、わだかまりが溶けていった。だが、過去のことやお金のこと、将来のことを考えると、闇にのみ込まれそうになる。そんな時は、カリヨンで出会った仲間にメールする。ひとりじゃない。そう思えて生きる力がわく。「苦労しながらも前に進もうとする彼女たちの存在が、私の希望です。年齢で判断しないで、心も体も傷ついている子どもたちに育ち直しの場と時間を提供して欲しい」 カリヨンを設立した坪井節子弁護士は、シェルターは大人から虐げられてきた子どもたちの「命の底支え」をする場所だという。「生まれてきて良かったね。ひとりぼっちじゃないよ。あなたの人生はあなたにしか歩けない。私たちスタッフは三つのメッセージを送ります。心に自尊心の灯がともれば、どんなにぼろぼろになって命の瀬戸際にいる子も、自分らしい人生を見つけて誇り高く生きていけるんです」
○目立つ女子の救済例・費用の補助も決まる
子どもシェルターは、家に帰りたくても帰れない、今晩安心して寝る場所がない子のために、衣食住を提供する。借り上げた戸建ての家などに職員が常駐。子どもは1~3カ月ほど、ここで過ごす。従来、児童相談所の一時保護所や児童養護施設があるが、児童福祉法で保護の対象は18歳未満。また、保護所は通学や就労が制限されることもあり、思春期の子がなじみにくいという。制度のすき間に落ち込んだ子どもを救済しようと弁護士が中心になってNPO法人を設立し、シェルターを運営。東京(04年)をはじめ、神奈川(07年)、愛知(同)、岡山(09年)、広島(11年)で開設されている。昨年12月までに計240人が利用。うち190人が女子だった。各法人は寄付や民間助成金などで運営費をやりくりしてきた。法的根拠がなく、学校や行政・医療機関との連携もうまくとれないことがあった。そこで、各法人や日本弁護士連合会が国へ法的制度化を要請。厚生労働省は7月、要件を満たせば自立援助ホームの枠で支援することを決定し、各都道府県などに通知した。月々ひとり約20万円の費用を国と所管する自治体が半分ずつ負担する。こうした動きの中、福岡では来年1月、京都は3月ごろの開設を目指す。関西で民間初のシェルターとなる京都では、NPO法人「子どもセンターののさん」が運営する。副理事長の吉田雄大弁護士は「この前もホームレス支援者から『今、目の前に19歳のホームレスの女の子がいるけれど助けられないか』と連絡がきた。早く開設して、子どもに寄り添うシェルターにしたい」と話す。東京のシェルターには全国から子どもが来る。日弁連は「都道府県ごとに少なくとも1カ所開設の必要がある」という。
◆平成23(2011)年10月17日 建通新聞 静岡本紙版
県 中央児童相談所一時保護所の設計委託 12年度に着工へ
静岡県は、中央児童相談所の再配置事業で、藤枝市内に新設する一時保護所の建築設計業務を高木滋生建築設計事務所(静岡市葵区)に委託した。納期は2012年3月19日。児童相談所側の意向を反映しながら建物の機能や仕様など詳細を設計の中で固める。12年度に着工する考え。
中央児童相談所の再配置は、増加傾向にある児童虐待の発生予防と対応の強化が目的。児童虐待通報後の速やかな対応と、関係機関との一層の連携強化のため、静岡市内にある県中央児童相談所と中央児童相談所一時保護所をいずれも藤枝市内に移転する。今回委託したのは、一時保護所の建築設計。定員は20人で、規模は鉄骨造2階建て延べ800平方メートル程度を想定。虐待を受けた子供が一時的に宿泊できる機能を配置するほか、親が外から侵入したり子どもが一人で外に出ないような対策や、防災・防犯対策などを講じる。建物の詳細については、児童相談所の関係者の意見を踏まえて設計の中で固める。建設地は藤枝市の所有地だが、施設の性格上、非公表。設計者選定の入札には8者が応札。高木滋生建築設計事務所が830万円(税抜き)で落札した。予定価格は1917万1000円(同)だった。
「中央児童相談所は県有施設の改修で対応」
一方、中央児童相談所の移転については、藤枝市内の県有施設を改修して対応する方針。候補となる建物の選定作業などを進めており、これが完了次第、設計業務を委託する。いずれの施設も12年度に着工し、同年度中に完成させる。
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