◆平成24(2012)年2月3日 千葉日報 朝刊
児童相談所に警官配置へ 虐待問題に切り札 新年度から人事交流 県と県警
児童相談所への相談件数が過去最多となるなど深刻さを増す児童虐待問題で、千葉県と千葉県警が新年度から現職警察官を相談所に派遣する人事交流を検討していることが2日、分かった。虐待の疑いがありながら、家庭訪問時に児童との面会を拒否されるケースは多く、死に至ってしまう最悪の事態が県内でも相次いでいる。警察官ならではの“嗅覚”を最前線で生かすことで、後を絶たない悲劇を未然に防ぐのが狙いだ。
検討されている人事交流は、県警幹部クラスを県庁の児童家庭課と中央児童相談所(千葉市稲毛区)にそれぞれ派遣するほか、多くのケースを抱える東葛地域の相談所に県警OBが勤務する案も浮上。こうした取り組みは2010年、虐待の通報を受けた大阪府の児童相談所の職員が親と面会できないまま幼児が死亡した事件をきっかけに全国的に導入。東京都は4月から全11カ所の相談所にOBを配置する方針。こうした警察官の派遣には、児童相談所と警察のより緊密な連携に加え、家庭訪問などの際にこれまでより踏み込んだ対応が期待できるという。
◆平成24(2012)年2月3日 中日新聞
【長野】差別されたくない 県が子どもの意識調査
「差別されないこと」「愛情を受けること」。県健康福祉部が県内の小学5年生から高校2年生を対象に実施した「子どもアンケート」で、子どもたちがこんな意識を強く持っていることが分かった。虐待やいじめなどを受けた場合でも我慢している傾向も浮かび、専門家らは「子どもが相談できるように相談機関を改善する必要がある」と指摘している。
「自分にとって最も大切だと思うこと」(複数回答)を聞いたところ、「差別されない」が38%でトップ。次いで「親に愛情を持って育てられる」(35%)「病気やけがの治療を受けられる」(33%)が続き、「遊ぶ」「休む」もそれぞれ30%、25%あった。県が昨年5月の世論調査で同趣旨の質問を県内の大人に行い、最も多かったのは「親に愛情を持って育てられること」(75%)だった半面、「遊ぶ」は16%、「休む」は1%と低く、意識の違いも表れた。子どもたちは「毎日が楽しい」が91%、「家の人に話を聞いてもらえる」が96%などと回答し、普段の生活にはおおむね満足している状況だ。一方で、虐待や体罰、いじめなどを受けた子どもが1、2割あり、中には性的に嫌なことをされた経験がある子どももいて、悩みを公的機関に相談せずに我慢する傾向もみられたという。アンケートは、県庁で開かれた「子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会」(委員長・喜多明人早稲田大教授)に報告。喜多委員長は「既存の相談機関を、より子どもに焦点を当てた仕組みに改善することが課題」と強調。委員からも「男女や年齢差の分析や、アンケートしていない障害者なども考慮し、全体を把握するべきだ」との指摘もあった。アンケートは、生活実態や意識の把握が目的で、質問は38項目。各学年1000人ずつの計7060人を対象に昨年11月に実施し、3362人(48%)が回答した。
◆平成24(2012)年2月2日 中国新聞 朝刊
家庭複雑化 引き取り長期に 児相保護所パンク 民間の施設と広島市契約へ
親からの虐待を受けた子どもや非行の子どもを緊急に保護する広島市児童相談所(東区)の一時保護所が収容力不足に陥っている。保護の必要な子どもの背景が複雑化し、家庭から引き取る期間が長期化しているためだ。市は保護スペースを確保するため2012年度、民間の児童養護施設との業務委託契約を結ぶ方針でいる。
一時保護所は児童福祉法に基づき、児童相談所が必要に応じて併設する。子どもの安全確保が必要と判断した場合などは親の承諾なしに2カ月以内をめどに入所させている。11年度の保護児童数は11年11月末現在で延べ186人。5年前の06年度同期(188人)とほぼ同じだ。だが11年度に保護児童数が20人の定員を上回った日数は11月末現在で48日。06年度の年間25日を既に大幅に上回る。市児童相談所は「子どもや家庭が抱える問題が複雑化し、保護が必要な期間が長期化しているのが一因」とする。11年度は保護が最長4カ月に及んだ事例があった。一時保護所には現在、性別、年代別に9室ある。定員を超える日は2人部屋を3人で使うこともある。市児童相談所は「精神的に不安定で個別にケアしたい子どもも多い。スペース確保を急ぎたい」とする。
◆平成24(2012)年2月2日 時事通信
匿名通報に1447件 10件摘発、対象犯罪拡大へ 警察庁
子どもや女性が被害者となる犯罪の情報を匿名で受け付ける「匿名通報ダイヤル」に寄せられた昨年の通報は、前年比267件減の1447件だったことが2日、警察庁のまとめで分かった。
通報に基づき、警察当局は男性高校生のわいせつ画像を撮影した児童買春・ポルノ禁止法違反事件など10件を摘発。児童虐待の疑いがある15件を児童相談所に通報した。被害者の保護や摘発に結び付いた7件が最高10万円の情報料の支払い対象となったが、受領の申請はなかった。通報内容は、児童買春などが216件、児童虐待が133件、人身取引が127件。残る971件は、薬物や闇金など対象外の犯罪に関するものだった。同庁は4月以降、通報対象を薬物取引や暴力団、来日外国人犯罪などにも拡大することを検討している。通報は匿名性を保つため、同庁から業務委託を受けたNPO法人「日本ガーディアン・エンジェルス」が受け付けている。専用ホームページは、http://www.tokumei24.jp。
◆平成24(2012)年2月1日 朝日新聞 東京朝刊
親の貧困で夢狭めぬよう、減税基金廃止し子ども育成基金 杉並区 /東京都
杉並区は、親の経済的な事情で子どもたちの海外体験や社会活動の機会が狭められないよう、4月から「次世代育成基金」(約6千万円)を設置する。前区長の山田宏氏の時に創設され、減税を目的に一定額を積み立てるとした「減税基金」を廃止し、その運用益約5千万円を新基金にあてる。
田中良区長が31日、新年度当初予算案の主要施策として発表した。具体的には、主に小中学生が、国内外の自治体と交流したり、野球やサッカーなどのスポーツやブラスバンドなどの文化・芸術活動で国際交流などを行う資金にあてる。杉並区によると、就学援助を受けている児童・生徒も区立小学生の5人に1人、区立中学生の3人に1人に上る。生活保護費は新年度予算案で約150億円と、10年前の2倍になっている。田中区長は「貧しいという理由で子どもがチャンスを逸することがないよう、社会全体で最大限サポートしたい」。基金には新年度予算案で計約6千万円を計上。うち1千万円は「趣旨に賛同した区民から広く寄付を募り、基金の財源としたい」という。理由として「費用の全額を税金で賄おうとすると用途が非常に限定的になる。寄付を通し、多くの区民に次世代育成の当事者意識をもってもらいたい」と説明する。減税基金の廃止について田中区長は「税金は低いにこしたことはないが、基礎自治体としては、東日本大震災を教訓に都市直下型大地震対策に緊急に取り組む必要がある。また、減税の恩恵は低所得者に薄く、むしろ低所得者への福祉政策を抑制するインセンティブ(誘因)として働く」などと説明。2月の定例区議会に条例廃止を提案する。