8月10日に千葉の柏市で長子を育児放棄で殺してしまった夫婦の報道で世間が賑わった。また今日になって母親は「育児放棄がバレるのが怖くて隠した」などと供述しているという。
この手の事件が起きると世間の目は児童相談所の落ち度へと向かう。3回も自宅に行っていたのになぜ救えなかったのか?という疑問がいつも怒りとして浮かび上がってくる。
しかし児童相談所は、子供を守る警察ではない。たしかに2005年に児童福祉法が原則が変わった。
「子どもへの虐待対応には、保護者の制限を伴うような行政行為が行われる可能性があるため、そうしたいわば強権を適正に運用できるのは、都道府県及び政令指定都市(実務的にはこれらの自治体が設置する児童相談所)が専らとする」
となったのだ。ただし、虐待が疑われる通告が年間で昨年度で約44000件あり、児童相談所の職員が一人あたらい抱える案件が80件から100件という現実がある。また、総務省の調査で児童相談所の職員が一人前になるのに3年〜4年必要と回答されているのに対し、児童相談所に配属された新人の児童福祉司が離職する平均年数が3年〜4年。つまり一人前になったら燃え尽きてしまうのが現状だ。
これを回避するためにこの本のような少し詳しい子供虐待の本を読んで欲しい。特にネグレクトは「子供の虐待とネグレクト」と欧米では併記されるのが普通など30年にわたって虐待臨床に関わる著者の経験がわかりやすく解説されている。
日本では、身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・ネグレクト(育児放棄)のように記載されるためネグレクトは少ないように思えるが、身体的虐待の次に多いのがネグレクトであり、そして最近増えてきているのが心理的虐待なのだ。
しかし、性的虐待が2020年までに性的虐待は社会問題化していくと指摘する。専門家でも性的虐待は、第二次性徴後であり、幼児などは被害に遭わないという誤った思い込みがある。僕がほかの児童精神科医など臨床家の本を読んだり話を聞いても性的虐待増加の指摘が増えてきた。
この他にも「DV(ドメスティックバイオレンス)を見た子どもは心理的虐待を受けたとみなされる」など専門家以外も正しいこども虐待の知識と現状を知って欲しい。
西澤氏は、最近の講演会で「児童虐待は、社会現象であるとの認識を持って欲しい」と述べたと新聞記事で読んだ。まさに子ども虐待・児童虐待は「社会現象」なのであり、責任を児童相談所や親だけに帰着させて他人ごととしてとらえる現状認識を変えなくては、虐待は減らないし、表面化しない虐待で苦しむ子どもたちは声を殺して泣くしかないのである。
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