◆平成23(2011)年9月27日 毎日新聞 地方版
子ども安心ホットライン:24時間体制で虐待相談 道内初、札幌市が開設 /北海道
札幌市は26日、児童相談所が24時間365日体制で児童虐待などの相談に乗る「子ども安心ホットライン」を開設した。道内では初めてという。
同市内の虐待相談などはこれまで、児童相談所が業務委託している市内4施設の児童家庭支援センターが24時間対応してきた。しかし、市民には虐待の通報先は児相という印象が強いため、児相に直接相談が寄せられ、他の業務を圧迫していた。そこで、児相直営の窓口を新たに開設し、増え続ける相談に応じることになった。同市によると、児相への相談件数は増加傾向にあり、06年度には4752件(うち虐待相談は310件)あった相談は、10年度には5437件(同478件)に増えた。児童家庭支援センター4施設や区役所に寄せられた相談も合わせると、1万件近いという。 児相は「より相談しやすい状況を作り、虐待の早期発見・防止に取り組みたい」と話している。子ども安心ホットラインは011・622・0010。
◆平成23(2011)年9月26日 下野新聞 朝刊(栃木県)
いじめ、けんかに対処マニュアル 県養協
県児童養護施等連絡協議会(県養協)は、施設で暮らす子ども同士のいじめ、けんかなどの暴力行為を防ぐためのマニュアル「子ども間暴力防止に向けて」を作成した。作成に当たり県内全施設で調査したところ、平均して1施設当たり毎日2件ほどの子ども間暴力があったことが判明した。虐待などで心に傷を抱えた子どもが大人数で生活する児童養護施設では、子ども間暴力の問題が起きやすいが、こうした取り組みは全国でもようやく始まったばかり。
施設での子ども間暴力については東京都社会福祉協議会児童部会が2008年、実態調査を行い、対応マニュアルを作成している。県養協の専門部会は09年2月、県内10施設の責任者にアンケートを実施。幼児のけんか、年長児からの強要、子ども間の無視、嫌がらせのメールなど、職員が認知できたさまざまな暴力行為を報告してもらったところ、一週間で計137件あった。殴る、蹴るなど身体的暴力は72件、強要や威嚇、無視など心理的暴力は46件。加害児は幼児、小学校高学年が多い一方、被害児は小学校低学年以下の年少児が7割超。年長児から年少児、または年少児同士という暴力の構図が浮き彫りになった。マニュアルはアンケートで各施設から寄せられた具体例に基づき、表面化しない暴力に気づくきっかけを例示。表情、食欲、一方的な食事の譲り渡し、言葉遣いの変化、職員について回るなどの注意点を挙げた。また「職員の目が届かない死角をつくらない」「被害児が話してくれた時、『加害児には言わない』と伝える」など暴力を察した場合の対応、「被害児、加害児を分離する」「それぞれ別室で話を聞く」など介入の流れも解説している。マニュアルは全10施設に配布して活用する。県養協の牧恒男会長は「施設の日常に流され、職員が問題を見逃す危険性がある。子どもにとって言いたいことが言え、安心して暮らせる施設でなければならない」と話している。
◆平成23(2011)年9月26日 時事通信 官庁速報
児童虐待防止で相談員増員=埼玉県加須市
加須市は、増加の一途をたどる児童虐待を早期に発見し、防止するため、家庭児童相談員を1人増員した。相談体制の強化を図り、児童虐待の深刻化に歯止めをかけたい考えだ。
これまで、家庭相談員は2人体制だったが、1市3町の合併で人口が増加。対応件数も増え、2人では運営が難しくなったことから増員を決めた。また、啓発用パンフレットも1万部作製し、学校や幼稚園を通じ、保護者に配布する。虐待に関する講演会も開催予定で、子育て世代はもちろんのこと、若年層も含めて市民全体の虐待に対する意識付けを行っていく。市は、市民全体が意識を持ち地域ぐるみで子育てを支援できる環境をつくることで、虐待に関する通報や相談などをしやすくしたい考え。虐待の芽を早期に発見し、迅速かつ柔軟に対応できるようになることを期待している。
◆平成23(2011)年9月26日 神奈川新聞 朝刊
“安らぎの場”小学校に設置へ、「開放型」校舎苦手な学習障害児に/逗子
逗子市立逗子小学校(神田寛校長、児童数878人)で、子どもたちの“隠れ家”づくりが進められている。「開放型」の校舎は2004年に建てられたが、学習障害(LD)のある子どもたちは間仕切りが少ない空間を苦手とする。広々としているゆえに落ち着かず、密室のトイレに閉じこもったり、教室に机でバリケードを築いたり。こうした開放型のデメリットに直面した同校は8月、子どもたちの安らぎの場づくりに取り掛かった。保護者が壁に動物を描いた“隠れ家”は10月にお目見えする。
同校の校舎は鉄筋コンクリート3階建てで、総面積は約6400平方メートル。(1)密室にならない(2)教員の目が届きやすい(3)学年を通して見通せる―などの「開放型」がコンセプトで、壁はコンクリートの打ちっ放し。教室と廊下の区別はなく、移動式のロッカーが仕切りの役割を担う。教室と教室の間には壁があるが、一部は窓側を行き来できる。「廊下部分を歩く人の視線が気になる」「音が筒抜け」といったデメリットは次第に浮上。同校はロッカーに掲示板を載せて壁代わりとし、窓側の空間も発泡スチロールでふさぐなどのデメリット解消策に腐心してきた。 トイレのいたずら書きも徐々に顕在化した。教室に机やほうきでバリケードを築いて個室化する例も。特にLDのある子どもは広い空間が苦手で落ち着かず、トイレのような密室に逃げ込む傾向が顕著ゆえの結果だった。
02年の文部科学省の全国調査によると、通常の学級に在籍するLDの児童生徒の割合は4・5%。かつては当たり前だった山の中の基地づくり、押し入れで探検ごっこといった遊びも、今は住環境の変化で難しい。そこで、誰もが安らげる“隠れ家”づくりに乗り出したというわけだ。それは建築用語で「den(でん)」といい、ねぐらや隠れ家、書斎を意味する。同校のdenは1畳の広さで高さ約2メートル。神田校長と職員が角材と合板パネルを材料に家の形に手作りした。窓が開けられ、暗くなり過ぎないように屋根の中央部分は“吹き抜け”となっている。全体を白く塗装した上、「子どもたちが親しみやすいように」と絵心のある保護者有志が動物を描いており、今月中に2軒が完成する。「次は木目を生かした山小屋風のdenをつくりたい」と神田校長。12年度までに各学年にひとつの「安らぎの場」を設置する考えという。
◇学�習障害 基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態を示す。その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚、聴覚、知的、情緒などの障害や環境的な要因が直接的な原因となるものではないとされる。
◆平成23(2011)年9月23日 読売新聞
覚醒剤事件 性的虐待把握へ対策 道 少女の面談記録分析=北海道
覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された札幌市の無職少女(16)が、実母(42)から売春や覚醒剤使用を強要されていた事件を受け、道は児童相談所で子どもの性的虐待を早期に把握する対策作りに乗り出した。子どもの性的虐待は外部から判断しにくく、今回の少女も売春が性的虐待という認識がなかったことが、発見の遅れにつながった。道は今回の事例を詳細に検証した上で、専門家の意見を元に対策を検討し、児童相談所の対応に生かす。
少女は実母に強要され小学6年から売春を始めた。3年前に実母が覚醒剤取締法違反で逮捕された際、児相に保護され、その後1年8か月間、児童自立支援施設に入った。しかし保護した児相や施設では売春は把握できず、少女は今年2月に児童自立支援施設を出て札幌で実母と同居を再開。6月頃に母親の勧めで覚醒剤を使用し始めた。道は今回の事件で、児童を保護しながら売春の事実をつかめなかったことを重視。今後、児相での少女の面談記録や心理テストの結果などを分析し、専門家の意見を聞きながら性的虐待の兆候がなかったかを検証する方針を決めた。
道によると、2010年度に寄せられた虐待の相談件数は1593件で、このうち養育の怠慢・拒否(ネグレクト)が741件で最も多く、性的虐待は38件(2・4%)しかなかった。児相も性的虐待を受けた子どもを扱う機会は少なく、札幌市の児相は「本人が性的虐待を自覚していない場合は職員に申告しない」と対応の限界を語る。性的虐待は表面化しないケースも多いとみられ、道保健福祉部は「家庭環境が異常だと自覚していない子どもには『おかしい』と自覚させ、抱えている問題をいかに引き出すかを議論する必要がある」としている。�札幌家裁は22日、少女の少年審判を開き、池田好英裁判官は、中等少年院送致の保護処分を決めた。
児童福祉に詳しい家村昭矩(あきのり)・名寄市立大短期大学部教授の話 「性的虐待は発見例が少なく、児相の職員も扱う経験が少ないため、兆候を見抜くのは難しい。今の児相は、日々の業務に手いっぱいで虐待などの知識を専門的に学ぶ機会がない。予兆を察知できるよう、過去の事例を学ぶ研修を行う必要がある」
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