◆平成23(2011)年11月18日 NHKニュース
“産科医が妊娠中から虐待予防を”
虐待で死亡する子どもの4割は1歳未満の乳児で、虐待を防ぐ役割を担う保健師や小児科の医師の目の届かないケースが多いことが分かり、全国の産婦人科医でつくる日本産婦人科医会は、妊娠中の段階から虐待予防に取り組むためのマニュアルを作りました。
虐待を防ぐ取り組みは、保健師の自宅訪問や子どもがけがで受診する小児科などで行われていますが、国の全国調査で、虐待で死亡した子どもの4割は1歳未満で、中には生まれた病院を出た直後、虐待され、亡くなったケースもありました。このため日本産婦人科医会は、妊娠中の段階から虐待を予防する取り組みを始めることにしました。マニュアルでは、育児の協力者がいるかや、健診をほとんど受けずに出産する未受診妊婦かなど虐待につながるリスクをチェックするリストをつくり、地域の児童相談所と情報を共有するとしています。このマニュアルは今月、全国の産婦人科の医師1万2000人に配られました。マニュアルを作った大阪府立母子保健総合医療センターの光田信明産科部長は「産科医が積極的に関わり、妊娠中から母子を支援することで虐待の早期発見や予防につなげていきたい」と話しています。
◆平成23(2011)年11月17日 毎日新聞 朝刊
新座の9歳男児暴行死:所沢児相、虐待ないと判断「守り切れず残念」 /埼玉
障害がある長男結希君(当時9歳)に暴行し死亡させたとし、父親の飯野伸一容疑者(29)が傷害致死容疑で逮捕された。親子にかかわった県所沢児童相談所は「虐待はない」と判断してきたという。榎本淳一所長は会見で「いろいろな関係機関が動きながら守り切れなかった。申し訳ない」と残念がった。
所沢児相によると、結希君が生後3カ月だった02年9月、医療機関から「頭に外傷があり、虐待の可能性がある」と通報があった。結希君はこのけがで、最重度の身体障害と知的障害を負った。しかし両親は「入浴時に洗面台に誤ってぶつけた」と説明。児相は児童面接や家庭訪問の結果、04年1月に「虐待の疑いはない」と判断した。その後も現在まで、虐待があった�との認識はないという。一方、結希君が通っていた県立和光特別支援学校によると、09年5月から10年7月までに、結希君の体に、あざや傷などを計7回確認した。母親に理由を尋ねたり、関係機関と会議を開いたりした。その後はあざなどが見られず、様子を見守っていたという。飯野親子は今年3月に、朝霞市から新座市に転入した。朝霞市は結希君の障害が重く、両親が若いことなどから、見守る必要がある「要保護児童」として在宅支援などをしてきた。新座市も要保護児童と認定したが、転入後、市が親子と会えず、支援内容を決められないうちに事件が起きた。新座市子ども家庭応援室の上原隆室長は「転入時に事件が起き重く受け止めている。転入ケースの家庭訪問の改善など再発防止に努めたい」と話した。結希君宅周辺では悲しみの声が聞かれた。近くに住む女性(74)は、7月に救急車が来たのが気になっていた。「何かあったのかなと思ったが、男の子が亡くなっていたなんて。かわいそうに」と涙ぐんだ。
◆平成23(2011)年11月12日 読売新聞
名古屋の中2暴行死 市検証委にNPO 初参加 民間のノウハウ反映=中部
名古屋市名東区で中学2年の服部昌己(まさき)君(14)が暴行され死亡した事件を受け、同市が今月設置する検証委員会に、児童虐待問題に取り組むNPO法人「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち」を参加させることが分かった。NPOの参加は初めて。市の児童相談所は、虐待を把握しながら十分な対応を取っていなかったとされ、検証委では、こうした問題点などが議論される。同市は「厳しい意見が寄せられることが予想される。再発防止に生かしたい」としている。
県警などによると、市の児童相談所は6月8日、中学校から「顔に殴られたようなあざがある」との通報を受け、14日に家庭訪問を実施。市の基準では、昌己君のけがは「一時保護を検討すべきレベル」だったが、家にいた母親の交際相手の無職酒井秀志容疑者(37)が殴ったと認めたうえ、「反省している」と態度を改める様子を見せたため、保護を見送った。学校などからの通報はさらに7月と10月にも寄せられ、児童相談所は2度にわたって家庭訪問したが、結局、保護には踏み切らなかった。検証委は、虐待死などが起きた場合、児童相談所の対応などを検証するため、都道府県や政令市が設置するよう児童虐待防止法で定められている。これまで名古屋市が設置した検証委のメンバーは学識経験者が中心だったが、今回の事件を受け、虐待の実態に詳しく、民間の立場から防止策を提言してきた同NPOのノウハウを反映させるため、参加を要請したという。同NPOの今西洋子事務局長は、昌己君の保護見送りについて、「子供を保護者から隔離して保護する『介入』を行うと、保護者との関係が悪化し、その後、再発防止の『指導』がやりにくくなると考え�たためではないか」と指摘する。事件を受け、同NPOと「日本子どもの虐待防止民間ネットワーク」は今月、市に提出した「子ども虐待防止に向けた緊急アピール」で、「介入は警察が行うべきだ」などと提言しており、検証委でも、指導と介入の役割分担の必要性を訴えていく方針だ。同NPO監事・岩城正光弁護士は「自ら現場や学校などに出向いて検証したい」と語る。初回の委員会は今月25日に開かれ、数回の会議を経て、来年度中に報告書をまとめる。
◇母親の交際相手起訴
名古屋地検は11日、昌己君に暴行を加えて死亡させたとして、酒井容疑者を傷害致死罪で名古屋地裁に起訴した。酒井容疑者は起訴事実を認めているという。起訴状によると、酒井容疑者は10月22日朝、昌己君の母親宅で、昌己君の胸を数回けるなどの暴行を加え、搬送先の病院で死亡させたとしている。酒井容疑者は以前からしつけと称して暴行を加えており、「うたた寝をしていたが認めなかったので、カッとなって暴行を加えた」と供述しているという。
◆平成23(2011)年11月12日 産経新聞
少年院出院者、4割再犯 無職では5割近くに 犯罪白書
少年院収容者の出院後の動向をたどった初の追跡調査で、元収容者のうち約4割が25歳までに再犯に及んでいることが、法務省が11日に公表した「平成23年版犯罪白書」で明らかになった。白書では「家族のサポートや就職が再犯の防止につながる」と分析している。
法務省は、平成16年1~3月に少年院を出院した18~19歳の計644人(男子606人、女子38人)について追跡調査をした。このうち、25歳までに再犯によって刑事処分を受けたのは248人(男子246人、女子2人)で約4割に上った。罪名別では窃�盗が73人で最多、傷害が54人、覚せい剤取締法違反が25人-と続いた。再犯者のうち、再犯の背景などを把握できた189人について調べたところ、約3割が暴力団に入っていた。保護観察終了時に無職だった47.6%が再犯に及んでいた。この数字は、有職の35.3%、学生・生徒の22.2%を大きく上回っており、就職や就学をしているかどうかが再犯に影響している状況が浮かび上がった。また、少年鑑別所の入所者730人と30歳未満の刑務所受刑者372人に、非行や犯罪に対する意識調査を実施。「悪いことを思いとどまらせる心のブレーキは何か」との質問に、「家族」と答えたのが68%で、「警察(摘発への恐れ)」の11%を大幅に上回った。
◆平成23(2011)年11月11日 薬事日報
【厚労省】来年度から母子手帳の様式変更
厚生労働省は、2012年4月から「母子健康手帳」の様式を変更する。直近の調査に基づいて乳幼児身体発育曲線と身長体重曲線を改訂するほか、胆道閉鎖症など、生後1カ月前後に便色に異常が現れる先天性疾患を早期発見できるように新生児の便色情報を提供する。
母子健康手帳は、1965年に母子保健法で市町村が交付するものとして定められて以降、社会情勢や保健医療福祉制度の変化、乳幼児身体発育曲線の改訂などを踏まえ、概ね10年ごとに様式を見直してきた。今回は、厚労省の検討会がとりまとめた報告書に基づいて省令改正する。胆道閉鎖症等の注意喚起については、現行様式でも「便の色がうすい黄色、クリーム色、灰色色で、白目や皮膚が黄色~黄緑色である場合は胆汁が流れにくい状態が疑われる」として小児科等の受診を促しているが、便色調の見本はない。そのため報告書は、「便カラーカード」を手帳と一体的に利用する必要性を指摘している。このほか、ハイリスク妊娠の増加、妊産婦の意識変化、妊婦健康診査の充実といった現状を踏まえ、妊娠・分娩リスクに関する情報を追記し、妊婦検診の記録欄や妊産婦の自由記載欄を増やす。また、発達が遅れがちな子どもを持つ保護者に配慮して、成長発達の確認項目の一部について、ある時点で「できる」「できない」を回答する形式から、達成時期を記載する形式に変える。予防接種の様式も充実する。検討会では、父親の育児参加を促すために、手帳の名称を「親子健康手帳」に変更してはどうかとの意見もあったが、妊産婦と乳幼児の�健康の保持増進を重視する考え方から、従来通りにすることにした。
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