◆平成23(2011)年12月23日 河北新報
震災遺児の成長温かくサポート 「子どもの村東北」設立へ
東日本大震災で親を失った子どもやその養育家庭を支援しようと、宮城県内に「子どもの村東北」(仮称)をつくる準備を進めている福岡市のNPO法人「子どもの村福岡」(満留昭久理事長)が22日、仙台市青葉区に現地事務所「情報センター」を開所した。
同法人は虐待や育児放棄などで親と暮らせなくなった子どもたちを預かり、里親や専門スタッフとともに家庭的な環境で育てる「子どもの村」を2010年4月から福岡市で運営している。震災で1500人を超す遺児・孤児が生まれ、養育面のサポートが一層必要とみられることから新たに宮城県に村をつくる計画を始動させた。村は、養育が困難になった子どもが里親と暮らす複数の民家と、保育士らが常駐するセンター棟で構成。14年6月の開村を目指す。商業ビル内に開設された「情報センター」は、開村に向けた関係機関との連携や広報活動などに活用する。行政、福祉関係者らが出席した開所式で、同法人の滝山勝久副理事長は「子どもたちを施設ではなく、家庭的なぬくもりの中で健全に育てられるように努めたい」と述べた。子どもの村は国際NGOが1949年にオーストリアに設立したのが始まりで、世界130カ国以上に広がっている。
◆平成23(2011)年12月22日 朝日新聞 北海道新聞
「里親になりたい」 札幌、震災後に増加 年齢高い子・経済的支援が課題 /北海道
さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもを家庭に迎えて養育する「里親制度」。札幌市でも東日本大震災後、里親希望者が目立って増えている。一方で、年齢の低い子どもを望む人が多いことなどから、希望者の数に比べて育てられている子どもの数は横ばいが続いている。
市児童福祉総合センターによると、10月末現在の登録里親数は175組。2010年度末は159組で、「東日本大震災後は、震災遺児のことを知って『自分にできることは何かないか』と里親を希望する人が多い」とセンター相談判定課主査の鈴木治さん。73組が実際に子どもを養育している。一方で、里親の元で養育されている子どもの数は、ここ数年は90人台で横ばいが続く。年齢別では、1~6歳が最も多く51人。「幼少期から愛着関係を築くため」という理由で、乳幼児を希望する里親が多いためだ。「里親制度の拡大のためには、受け入れ態勢の充実が不可欠。そのためには、年齢の高い子どもの受け入れを進めることが重要」と鈴木さん。里親への支援も欠かせない。新しい環境に預けられた子どもは、大人をわざと困らせたりする「試し行動」に出ることがあり、経験の浅い里親が戸惑ったり悩んだりするケースもあるという。市ではこうした里親を支援するため、今年度から「里親メンター事業」に乗り出した。ベテランの里親が新米の里親を訪問して、養育上の悩みを聞きアドバイスする事業だ。なるべく早い段階で相談できる環境づくりに取り組んでいる。市里親会事務局長の田中勝さん(73)は、83年から里親を始め、22人を育てたベテラン。「きれいごとではなく、こんなはずじゃなかった、ということもある。でも、預かった子どもがうれしそうに笑った瞬間に苦労が吹き飛ぶ」という。里親には手当(通常月7万2千円)などが支給されるが、子どもが高校を卒業するまでか、18歳になるまでだ。「最近は不景気で就職が見つからず、里親が自腹を切って支援し続けているケースがある。せめて20歳まで里親への経済的支援を続けてもらいたい」。田中さんは、そう気にかけている。
◆平成23(2011)年12月21日 沖縄タイムス 朝刊
コザ児相に一時保護所 定員20人 女子寮先行し開所
虐待された児童らを保護する県コザ児童相談所(兼浜保佳所長)の「一時保護所」が20日、沖縄市の同所で開所した。本年度は女子寮の運用を先行させ、男子寮は来年度から運用する。定員は20人(女子10人、男子10人)。開所式では与世田兼稔副知事ら関係者がテープカットした。
県内の一時保護所は中央児童相談所(定員24人)に設置されているが、虐待相談件数が高止まりの傾向にある中、年間を通して満床状態が続いていた。このため県は2010年から保護所の拡充整備を進め、このほど新設した。コザ児相の一時保護所は同所の敷地内に設置。鉄筋コンクリート2階建て。触法少年事件で送致されてきた児童を個別支援できる個室を2室設けたのが特徴。多目的ホールや学習室、幼児用プレールームなども備えた。総事業費は約2億8千万円。与世田副知事は「要保護児童の対策を強化したい」と述べ、関係者の協力を求めた。高嶺善伸県議会議長は「虐待の早期発見と迅速な対応が求められている。子どもたちが心身ともに健やかに育つよう協力していきたい」と激励した。
◆平成23(2011)年12月21日 富山新聞 朝刊
里親、高まる関心 過去最多69組に
親の死亡や虐待、経済的な理由などで親と暮らせない子どもを育てる「里親制度」への関心が高まっている。県内の里親登録数は20日現在、前年度より13組増えて過去最多の69組となった。同制度は東日本大震災で震災孤児の受け入れに活用されたことで全国的に見直されており、関係者は要援護児の受け皿の広がりを歓迎している。
児童養護施設が充実している県内では里親制度の利用が進まず、全国順位でも長らく下位を低迷してきた。施設より里親のもとでの養育が望ましいとする風潮の高まりを受け、県は4月から里親委託推進員を児童相談所に配置するなどして取り組みを強化した。里親登録数は2006年度に40組だったが、この5年間で29組増加し、今年度はさらに数件の登録申し込みについて審査が進められている。里子も06年度の4人から34人(20日現在)に増え、施設や里親に預けられている要保護児童の全体数に対する里子の割合(里親委託率)は06年の1・4%から9・6%に上昇した。
登録が増えている背景には東日本大震災の影響も。東北では震災孤児の半数が里親に引き取られ、東北以外の地域からも受け入れの要望が相次いだ。県内でも震災孤児を支援したいとの声が上がり、県里親会を通じて被災地に申し入れている。国は2014年度までに里親委託率を16%に引き上げる目標を掲げており、現状で県内の養護施設や乳児院に入っている約320人についても、適正をみながら里親のもとへ託していく必要がある。県中央児童相談所の塚本優美子所長は「里親登録数が増えればマッチングがうまくいく可能性が広がる。単身でも登録できるので、気持ちのある方はぜひ申し込んでほしい」と 呼び掛けている。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。