◆平成24(2012)年1月29日 毎日新聞 朝刊地方版
さいたま市:若者を総合支援 地域協設立、専門家連携 不登校など、継続的に /埼玉
さいたま市は、子どもや30代までの若者の問題を一カ所で話し合う「子ども・若者支援地域協議会(仮称)」を新年度から設立する方針を28日までに固めた。同協議会は、教育委員やNPO、児童相談所の担当者などがメンバー。不登校やニートなどの子どもたちについて話し合い、専門機関につないで支援する。また、子ども、若者からの悩みを受け付ける「総合相談センター」も新設する。事業費約3450万円を新年度一般会計予算に盛り込む見通しだ。
同協議会は、引きこもりや高校中退、虐待などの問題を抱える子どもの情報を、児童相談所や民間の相談機関、学校などから寄せてもらい話し合う。全体の調整役は市が担うが、アドバイス役の「指定支援機関」として子ども支援の経験が豊富なNPOに委託する。従来は子ども単位ではなく、悩みの分野ごとで応じていたが、専門家が連携することで、子どもが学校に通ったり就職したり自立できるまで継続的に支援することができるのがメリットだという。09年に「子ども・若者育成支援推進法」が制定され、内閣府の調べでは、今年1月1日現在で8県6政令指定都市で同様の協議会が設置されている。市では、浦和区の旧浦和市立大原中学校の跡地、約1万3000平方メートルに「子ども総合センター(仮称)」を14年度から開設し、子育ての相談窓口や中高生が集える場所、児童相談所、遊び場、子どもについての研究機関などを一カ所に集める計画を進めている。先に設置される「総合相談センター」を14年度以降はこの「子ども総合センター」内に置く予定だという。
◆平成24(2012)年1月28日 Sankei Biz(産経新聞)
幼少期虐待で脳構造に変化の恐れ
幼少期に虐待を受けた10代の若者は脳の構造が変化し、成人後に問題行動を起こす恐れがある。米エール大学の調査で明らかになった。
医学誌アーカイブス・オブ・ピディアトリック・アンド・アダルセント・メディシンに掲載されたリポートによると、ネグレクト(育児放棄)や身体的虐待を受けた若者の脳スキャンを行ったところ、実行機能(計画を立て、組織化し、細部に目を配るといった内面的プロセス)をつかさどる領域に変化が見られた。また感情や衝動的行動を制御する脳領域でも変化があった。米国では毎年約370万人の子供が虐待やネグレクトを受けているとされているが、専門家が把握していないケースも多いため実際にはさらに多い可能性がある。研究結果から、虐待やネグレクトを受けた子供が鬱病や依存症などの障害を患うリスクを低下させるため、観察を勧めている。同医学誌に付随論説を掲載したオレゴン大学の精神医学教授、フィリップ・フィッシャー氏は「幼少期に虐待を受けた場合、後に脳の発達に変化を及ぼす可能性があることが今回の研究結果から分かった」と述べ、「障害を患っていなかったにもかかわらず、調査した子供たちは脳が発達していく間に精神障害を患う可能性がある」としている。同教授によると、人間の脳は青年期まで発達を続け、特に感情抑制や実行機能をつかさどる脳領域が発達していくという。研究者らは精神障害と診断されたことのない12~17歳の子供42人を調査。子供たちが身体的・精神的虐待やネグレクト、性的虐待を受けていたかどうか判定するためにアンケートを実施し、その後MRI(磁気共鳴画像装置)を使って脳の画像を撮影した。論文を執筆したエール大学チャイルドスタディーセンターの精神医学および診断放射線医学のヒラリー・ブランバーグ准教授は、女子の場合は感情処理に関連した脳領域で変化がある傾向が強く鬱など気分障害を患いやすい一方で、男子は麻薬やアルコール依存症と関連性のある衝動抑制の領域に変化が見られたと指摘した。 虐待やネグレクトを受けた若者には脳構造に変化が見られたが、性的虐待を受けた子供の脳に特徴的なパターンは見つからなかった。だがブランバーグ准教授によると、性的虐待を受けた子供の数が少ないことが原因である可能性があるという。研究者らは若者の追跡調査を行い、鬱病や薬物乱用などの問題が生じるか、なぜ問題に発展する人としない人がいるのかを解明していくとした。(ブルームバーグ Nicole Ostrow)
◆平成24(2012)年1月26日 朝日新聞 東京朝刊
子の一時保護所、改善へ全国組織 県立大で28・29日シンポジウム /埼玉県
虐待を受けるなどした子どもを緊急に保護する一時保護所を改善しようと、児童相談所職員や研究者らが28日、全国組織を立ち上げる。利用者数の増加や入所の長期化に伴い、保護所の環境悪化が問題になっており、主催者は「お互いに連携し、構造的な問題提起につなげたい」としている。
有志でつくる「児童相談所一時保護所研究会」(代表・浅井春夫立教大教授)が呼びかける。研究会によると、都道府県別では、一時保護所がある児童相談所が1カ所しかないところが多く、対処法など情報が不足しているのが実情だという。全国規模の調査研究や職員の交流を通じ、支援技術の向上や、法整備を目指した提言などにつなげたいとする。研究会は「子どもへの暴力防止プロジェクト助成」(朝日新聞社など主催)の対象で、2010年秋に全国124カ所の一時保護所の責任者や職員、小4以上の子どもを調査した。その結果、約3割の子どもが、他の子から嫌なことをされた経験がある一方、同じ割合で暴力を振るった経験があることも分かった。職員の間でも、「暴力は振るわれなかったが身の危険を感じた」と3割が答えるなど、暴力問題が深刻化していた。その一方、危機管理マニュアルがある施設は4割にとどまった。同会メンバーで南児童相談所の茂木健司保護担当部長は「多くの子が初めてケアを受ける場。きちんと対処し、大人を信用してもらいたいが、多くが可能な環境にない」と話す。
同会は28、29日、越谷市の県立大学で全国組織の発足記念セミナーを開く。調査結果の報告やシンポジウムがある。参加費3千円。問い合わせはメール([email protected])へ。
◆平成24(2012)年1月25日 産経新聞
里親孤立防止へ定期訪問
厚生労働省は、親が死亡したり虐待を受けたりした子供を養育する里親への支援策として、里親が孤立化しないよう最初の2カ月は2週間に1回程度、児童相談所職員などが訪問するとの数値目標を公表した。社会保障審議会の社会的養護専門委員会で示した。
親と暮らせず施設や里親が養育する子供約4万人のうち、里親が預かっているのは1割の約4千人。厚労省は、より家庭的な環境で育てるため、十数年後には里親による養育を3割に引き上げる方針を掲げている。現行では、里親支援が手薄となるケースもあるため、数値目標を定めることにした。里子の養育では、どこまで許してもらえるかを確かめる「試し行動」や退行が表れることがあり、里親が悩みを抱えるケースがある。訪問した際に、悩みを聞き助言するほか、里親が休息できるよう別の里親などが一時的に預かる仕組みを案内する。数値目標では、養育開始後の3カ月目から2年後までは毎月または2カ月に1回程度訪問。その後は年2回程度とした。相談所職員だけでなく、児童養護施設に平成24年度から配置予定の里親支援専門相談員も訪問業務にあたり、チームで里親を支える態勢を整備する。
◆平成24(2012)年1月20日 時事通信 官庁速報
乳幼児の不慮の事故防止で疑似体験施設 兵庫県姫路市
姫路市は、家庭内での乳幼児の事故予防について保護者の意識向上を図るため、「こどもの事故予防体験ひろば」を3月に設置する。同様の施設は県内では初めて、全国では4例目だという。事業費は約580万円。
同施設は、保健所の1階フロア(約140平方メートル)に、キッチンや浴室、トイレ、ベランダ、階段など実際の家の中を再現し、事故が起こりやすい危険箇所を確認できるほか、パネルなどで予防策を紹介する。例えば、リビングではソファからの転落、キッチンでは熱湯によるやけど、浴槽でおぼれるといった危険性を疑似体験できる。幼児健診や乳幼児健康相談に訪れる保護者らが対象で、パネルなどを活用して担当者が解説する。市によると、2008~10年の3年間で、0~6歳児の不慮の事故で死亡したケースは計12件で、全体の20%を占めている。
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