◆平成24(2012)年1月1日 読売新聞
高知・福岡・京都 …検挙・補導ワースト3常連
京都府警によると、刑法犯で検挙・補導される少年少女は全国的に減少傾向にある。だが、府内の検挙・補導者数は人口1000人あたりで2008年、17・6人と全国で2番目に多く、09年は18・8人でワースト1になった。文部科学省が全国の小中高校などを対象に調べ、昨夏に発表した「児童生徒の問題行動調査」(10年度)でも、府内の1000人あたりの暴力行為9・4件は全国平均の倍以上で、全国で3番目に多い。
府警は10年を「少年対策元年」とし、摘発強化とともに、OBのスクールサポーター(36人)を中心に、BBSなどと連携して非行防止や立ち直り支援を本格化。11年度からは犯罪被害者やその家族に学校で講演してもらい、実態や悲しみに触れることで非行の食い止めを図る「いのちを考える教室」を、府と連携して開催するなどしているが、具体的な原因については府警幹部も「全体的な規範意識の低下としかいいようがない」とし、模索が続く。
非行に走る傾向を強めるとの指摘もある児童虐待も10年度、府内で認定されただけで1270件あり、過去最多。ただ、心を育む郷土への思いは強い。京都市が13~30歳の1800人を対象に調査し、10年4月に発表した「市青少年意識行動調査」では、「京都市に愛着がある」と答えたのは85%に上り、世代別では高校生が91%で最も高かった。
◆平成23(2011)年12月29日 東京新聞 朝刊
里親支援 夜間・土日も 来年度 都、全児相に拡充
親が育てられない子どもを養育する「里親」を見守るため、都は来年度から、児童相談所で行っている里親家庭の支援事業を拡充し、現在の三カ所から都内の全相談所十一カ所で実施する。夜間・土日の養育相談や定期巡回訪問を新たに始め、支援の中身も手厚くする。国が里親委託を推進する中、杉並区の里親が三歳の里子を虐待死させた疑いで逮捕された事件があり、支援態勢の充実が求められている。
支援事業は現在、児童相談センター(新宿区)と品川区と八王子市の児童相談所の三カ所で実施している。新たに始まるのは墨田、世田谷、杉並、北、足立の五区と立川、小平、多摩の三市にある児童相談所。これまで、里親側の相談を受ける事業は開庁時間に行っていたが、夜間や休日にトラブルが起きやすいことから、毎日午前九時~午後十時に応じるようにする。また児童相談所による家庭訪問は里親側の要請があった場合に行っていたが、来年度から年数回、ソーシャルワーカーが巡回訪問する。虐待などで保護が必要な児童が増える中、国はより家庭的に育てるため、主な養育者を施設から里親へと移している。都内で里親に委託された児童数は二〇一〇年度に四百十二人で、一九九八年度の百九十八人から倍増した。杉並区の里子虐待死事件 2010年8月、杉並区の里親家庭で養育されていた女児(3つ)が死亡し、11年8月に里親の声優の女が逮捕、9月に起訴された。東京都は有識者らでつくる児童福祉審議会の部会でこの事件を検証。12年1月に報告をまとめ施策に反映させる。
◆平成23(2011)年12月29日 毎日新聞 朝刊播磨・姫路版
姫路の2歳児重体:県と市の対応に問題 防止委が検証報告書 相談態勢強化、県が市指導へ /兵庫
姫路市で2歳の男児が母親の交際相手から暴行され意識不明の重体になったとされる事件を巡り、県の対応について検証する県児童虐待防止委員会の立木茂雄委員長(同志社大教授)は28日、県の対応や姫路市の相談態勢に問題があったとする報告書を井戸敏三知事に提出した。これを受け、県は姫路市に対し、相談態勢を強化するよう指導する方針。
報告書などによると、県姫路こども家庭センターは今年4~5月に姫路市から男児に擦り傷があるなどの通報を受け、家庭訪問を2回したが、「虐待の確証がなかった」として見守りを継続。ところが、6月に入って男児は急性硬膜下血腫で病院に運ばれた。これについて、防止委は「男性が同居していないことから対応が不十分となり、踏み込んだ対応ができなかった」と指摘。「子どもの安全を最優先にして、関係者の調査・確認を行うべきだった」と同センターの対応に疑問を呈している。また、姫路市の担当部署の職員が5人しかおらず、県内の他市町(尼崎市15人、明石市12人など)よりも少ない点を指摘。「相談態勢が脆弱(ぜいじゃく)な状況で、市が主体的に取り組めていない」と批判している。立木委員長は同日、県庁で「センターはもっと踏み込んだ対応をすべきだったし、姫路市もセンターに任せきりで態勢が不十分だった」と述べた。
◇姫路市は反論
一方、姫路市は「保育所から頭部にけがをした幼児の報告を受け、虐待の恐れがあると考え、一時保護するなどの権限があるセンターに連絡しており、取り組みが不十分だったとは考えていない」と反論している。
◆平成23(2011)年12月29日 中日新聞
虐待家庭に「緊急介入」へ 名古屋市
名古屋市は来年度から虐待被害に遭っている子供たちを家庭から素早く引き離すため、市内2カ所の児童相談所に「緊急介入チーム」(仮称)を新設する方針を決めた。今年10月、名東区で中学2年生の男子が母親の交際相手に暴行されて死亡した事件を教訓に、子供の保護を最優先した対応を目指す。
名古屋市によると、家庭への介入に特化した組織づくりは全国でも極めて珍しい。名東区の事件では男子が家庭訪問した市中央児童相談所の職員2人に対し、顔のあざを「階段の手すりで打った」と説明したり、暴行した男が反省の意を示したことなどから一時保護をしなかった。現場を尊重し、判断の是非が検証されることもなかった。緊急介入チームは判断力を強化するため、児童福祉司や児相に出向している警察官など専門性の高い4人で構成。中央、西の両児相に各1チームを配置する。家庭への介入を前提とし、面接で子供が否定した場合でも一時保護した上で虐待の有無を調べる。名東区と同様のケースなら、母親の交際相手だった男の意向にかかわらず、男子をいったん保護し、顔のあざを専門医に診断してもらうといった措置を取る。仮に保護を見送った場合でも現場の判断をうのみにせず、子供に危険が及んでいないか所長をはじめ複数の職員が多角的にチェックする。市役所内にも県や県警、区役所など関係機関との連携強化を図る人員を配置。行革で職員数の削減が進む中、計10人余の増員となる。チーム全体のトップは小板橋康則・子ども育成部長が兼務する方向で調整している。緊急介入チームの設立は名東区の事件に関する有識者らの検証委員会でも概要が報告された。市は設立に合わせ、現行の一時保護基準の緩和や、予想される保護児童の増加に備え、一時保護施設の拡充なども検討する。
◇名古屋市の児童虐待 市によると、児童相談所に寄せられた虐待の相談件数は2000年度の336件から10年度は833件と2・5倍増に。この間、虐待の通報がありながら子供が死亡したケースが7件あった。一時保護件数はここ5年、200件前後で横ばいで、相談件数の増加に比し、保護意識の希薄さも指摘されている。
◆平成23(2011)年12月29日 朝日新聞
学力調査で家計把握へ 文科省、格差解消に活用計画
文部科学省は28日、2013年度の小中学生の全国学力調査で、家庭の経済状況を把握するアンケートを行うことを決めた。学力と家庭の豊かさの関係を調べ、格差をなくす対策を考えるのに生かす狙いだ。
所得の低い世帯に給食費や修学旅行費などを支援する「就学援助」を受けている子が多い学校は、学力調査の正答率が低い傾向があることが分かっている。文科省の担当者は「家計と学力の関係を、学校単位よりも子ども一人ひとりのレベルできめ細かく分析することで、放課後の補習など教育格差を解消する指導法づくりに役立てたい」と説明している。13年度以降も続けるかどうかは結果をみて判断するという。