『発達障害当事者研究』(医学書院)の共著者が多様性の必要性を説く。
アスペルガー症候群で知識として世界を認知する綾屋さんは、自身の中学校の周囲のコミュニケーションを言葉の無法地帯と形容した。アスペルガー症候群は様々な症状があるが、彼女は、表情と発話との一致までの時間がかかるので、たくさんの友だちとコミュニケーションを取るには、瞬間的に表情と発話される言葉を一致させ、それに応答するのに困ったことを綴っている。
アスペルガー症候群は、情報として世界を認知できても、情感として捉えるまで時間の掛かる人が多い。それゆえに自分の発話した言葉の情報すら自分で認知不可能だった。それを回避できたのがワープロの登場だ。ワープロからパソコンの流れは、アスペルガー症候群の人たちの救いになったことは間違いない。文字を打ち込む動作も規則的で、言葉の曖昧さを消すことができたからだ。
このように綾屋さんが世界とつながらない悩みを持つ一方で、熊谷さんは「つながりすぎる」苦悩を吐露している。
例えば、ひとつの筋肉の緊張するとすべての筋肉が緊張してしまうなどの身体的なつながり、母親とリハビリに励むうちに、母親の理想通りに反応してしまうつながり過ぎ感覚に苦しめられたという。
それは、常に「健常者」意識し、どんどん自分でできることが多くなっても、健常者のイメージが肥大化しそれに追いつかなくなってしまったのだ。
このように障害をもっていても個々人の差異をそのままに同時にその差異を超えた共感を得るために必要な実践的知識かつ、生きづらさ系の人たちに対する処方箋として本書は役立つだろう。
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