◆平成23(2011)年10月22日 読売新聞
長女監禁死 「学校と児相 連携不十分」 県教委、報告書まとめる=岡山
岡山市内で母親が県立高等支援学校に通っていた長女(16)を浴室に監禁して死なせたとされる事件を受け、学校の対応の検証などをしていた県教委の「児童虐待防止検討委員会」が、報告書をまとめた。学校をはじめ、関係機関の連携が不十分だった実態が明らかになった。報告書は、今月中に県内全公立学校園(953校園)と各市町村教委に配る。
県教委は7月に同委員会を設置。9月までに3回協議を行ってきた。報告書では、長女に対する学校の対応、事件の経過を記載。学校は、長女が入学以前から虐待を受けていたことを把握しながらも、昨年6月から今年1月までの4回、長女の目元の傷、頬のあざを確認しても「詳しい状況を聞き取っておらず、岡山市こども総合相談所(児童相談所)への連絡も不十分だった」とした。また、学校は「虐待防止の働きかけを行えば、母親によって長女は学校を辞めさせられ、支援できなくなる」と、懸念していたことが明らかとなった。一方、同相談所は今年2月、学校側から連絡を受けてから状況確認までに2週間以上も時間を要したと指摘した。県教委は学校から報告を受けたものの、内部で情報共有が十分されず、関係課で協議しなかったとし、これらより「学校は長女の支援や家庭への働きかけ、関係機関との連携が不十分であった」と結論づけた。6月実施の県内の全公立学校園の実態調査の結果も踏まえた再発防止策では、学校に対して、児童虐待が疑われる場合には迷わず市町村などに通告、生命の危険を感じた場合には警察へも通報するよう求めている。また、児童相談所などに通告した後も定期的に関係機関と情報交換を行うことを指示している。県教委人権教育課は「学校が虐待問題を児童相談所に任せるのではなく、主体的、継続的にかかわることを徹底させたい」としている。
◆平成23(2011)年10月22日 毎日新聞
大阪・住之江の乳児虐待死:病院対応に問題 市検証報告書
大阪市住之江区の阿部颯(はやて)ちゃん(当時3カ月)が父親の暴行で死亡した事件を受け、専門家で構成する市社会福祉審議会の児童虐待事例検証部会(部会長・津崎哲郎花園大教授)は21日、颯ちゃんの骨折を2度治療しながら児童相談所に通報しなかった市立住吉市民病院の対応に問題があったなどとする検証報告書を発表した。審議会は、虐待の兆候を見逃さないよう院内チームを整備すべきとする再発防止�策を提言した。
報告書によると颯ちゃんは昨年11月に2度住吉市民病院を受診。1度目は左腕が骨折、2度目は両すねが骨折していたが、診察した医師は児相に通報せず、退院させていた。颯ちゃんはその直後に意識不明の状態で病院に搬送され、死亡した。審議会は医師が単独で退院を決定したことや、看護師らが父親の育児態度を問題と考えていたのに院内で情報が共有されていなかったことなどを問題とし、チームで協議して虐待に対応し、児相との連携を強化するよう求めた。
◆平成23(2011)年10月22日 日本経済新聞
学童保育の重大事故、1年間に261件 厚労省まとめ
厚生労働省は21日までに、今年9月までの1年間に、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる学童保育(放課後児童クラブ)で全治1カ月以上のけがをした事故が261件あったと発表した。保護者が登録した市民に子供を一時的に預かってもらうファミリー・サポート・センターでも今年6月までの約5年間で15件の事故があった。
厚労省によると、学童保育で事故があったのは35都道府県の261件。けがは骨折が215件(82%)と最も多く、打撲・ねんざ21件(8%)、歯の破折17件(7%)と続いた。東京都では昨年12月、小学3年の男児がおやつのアメリカンドッグをのどに詰まらせ死亡する事故があった。学年別では1年生98人、2年生75人、3年生69人で学年が上がるにつれて減少した。発生場所は校庭など屋外が126件と全体の48%を占め、事故の内訳は遊具からの転倒が75件(29%)、次いで球技中の転倒が51件(20%)だった。ファミリー・サポート・センターでも06年4~今年6月、8都道府県で計15件の重大事故が発生。内訳は骨折5件、歯の破折2件のほか、寝ていた乳児が突然ぐったりして意識不明の重体になるケースもあった。
◆平成23(2011)年10月21日 大阪日日新聞 朝刊
「胎児虐待」を防げ 府が対策乗り出す
妊娠後に妊婦健診を受診しないなど、胎児の健康や命を危険にさらす行為を「胎児虐待」と捉える考え方が、児童虐待防止の観点から求められている。虐待をはじめ、未受診で生まれたばかりの子どもが死亡する割合が高く、望まない妊娠などへの対応を強化する必要があるため。11月の児童虐待防止推進月間を前に大阪府は、妊娠期にメールや電話で相談できる窓口を開設するなど、取り組みを進めている。
0歳児死亡最多
厚生労働省に「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」(委員長・才村純関西学院大教授)が設置されて以来、2003年7月~2010年3月で把握した0歳児死亡(心中は除く)は、年齢別で最多の4割強を占め、170人。このうち生後1カ月未満(0カ月児)で死亡していたのは77人(45%)、中でも出産から24時間以内(0日児)の死亡は67人と多くを占める。死亡した0日児については8割が望まない妊娠で、妊婦健診を受けていたのはわずか2人。いずれも妊娠の確認のためとみられる1回だった。才村教授は「気軽に相談できるシステムの構築が必要」と強調する。
深刻な悩み続々
大阪府はこうした事態を受け、府立母子保健総合医療センターに委託し、望まない妊娠をした人や周りの人がメールや電話で無料相談できる窓口「にんしんSOS」を今月開設。インターネットサイトで関連情報の発信も行っている。府によると、望まない妊娠に特化してメールでも受け付ける窓�口を設け、医療機関と連携しつつ市町村にもつなぐ体制は全国初という。「2人の乳児がいるにもかかわらず予定外の妊娠をしてしまい困っている」「産む場所を急きょ探さなければならない」など、開設後、多いときは1日数件の相談が寄せられ、医療機関への飛び込み出産を防げたとみられるケースもあったという。府担当者は「本格的な広報の前にこれだけの相談があるのは予想以上の反響」と話す。相談先を示した名刺サイズのカードを産科医療機関や妊娠検査薬のある薬局に配るなど、啓発の強化を図っているという。
連携強化を
大阪産婦人科医会と府が09、10年度に行った府内の未受診妊婦の実態調査で、委員長を務めた府立母子保健総合医療センター産科主任部長の光田信明医師は「妊婦健診の未受診や飛び込み出産は、子どもの立場から見れば、胎児虐待という概念で捉えるべきでは」と提案する。府内の児童虐待関係機関の職員を対象に14日に開かれた研修会で、2年間の調査結果が報告された。それによると、妊婦健診の受診回数が3回以下など、ほとんど受けていなかったのは2年で300件、大阪でお産をする約500人に1人の割合だった。未受診妊婦の場合、胎児や新生児の死亡率を表した周産期死亡率は千人のうち23人が亡くなる計算で、全国平均の約6倍という。経済的な問題をはじめ、家庭事情や社会的孤立など「未受診と虐待の背景は似ている」と光田医師。児童虐待防止のネットワークに「産科医もどこかでアクセスできる道が必要」と、連携への協力を呼び掛けている。
◆平成23(2011)年10月21日 時事通信
不妊検査・治療、16%経験=晩婚化影響か、夫婦の3割「心配」-厚労省
不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合が2010年に16.4%に達したことが21日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査で分かった。05年の前回調査時の13.4%から3ポイント増え、同研究所は「晩婚化や、これまでなら妊娠を諦めていた人が不妊治療を受けるようになったことが背景にあるのではないか」と分析している。
調査は10年6月、妻が50歳未満の夫婦を対象に実施。初婚同士の6705組について集計した。それによると、検査や治療を経験した夫婦は、妻が20代の場合10.1%だが、30代は17.8%、40代は16.3%。子どもがいない夫婦に限ると、28.6%に上った。また、不妊を心配したことがある割合も前回調査時から5ポイント増え、31.1%となった。
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