◆平成23(2011)年10月13日 西日本新聞 朝刊
虐待早期発見へ医療の網 厚労省 地域中核病院に専門員
厚生労働省は、児童虐待の早期発見・対応につなげるため、中核的な小児医療機関と開業医らが連携する「児童虐待防止医療ネットワーク」を全都道府県に構築する方針を固めた。来年度以降、各地の小児救急病院やこども病院などに児童虐待専門のコーディネーターを配置。小児科医院などを受診した子どものけがや体のあざなどが虐待によるものかどうかを見抜けるよう、医療従事者から相談を受けて助言したり、研修会を開いたりする。
計画では来年度から数年間かけてネットワークを構築。初年度は、来年度予算の概算要求に盛り込んだ児童虐待・DV対策等総合支援事業費(24億6800万円)を活用し、全国10地域程度のこども病院などにコーディネーターを1人ずつ配置する。将来的には全都道府県に最低1人は配置することを目指す。背景には、2004年の児童虐待防止法改正で、虐待の疑いがある子どもを診察した場合、医師は証拠がなくても児童相談所(児相)へ通告することが義務付けられたにもかかわらず、通告数が伸びない実態がある。子どもの発達段階や保護者の説明と矛盾する所見、経過とともに色が変化する打撲痕が複数色あることなどが虐待疑いのポイントとされるが、「打撲や骨折が虐待によるものかどうかは専門家でなければ判断が難しい事例も多く、通告をためらうケースが少なくない」(厚労省母子保健課)という。このため、児相に通告する前に専門的な知識や経験があるコーディネーターに相談できる態勢を整える。また、大阪府内の医療機関で今年5月、虐待の疑いを把握しながら小児科や外科など院内の連携が不十分で通告が遅れ、子どもが死亡した事例を受け、コーディネーターは配置された病院内での通告や保護者への対処のまとめ役も担う。地域の医療従事者を対象に、体に表れるさまざまな暴力の兆候など具体的な事例の報告会や研修会も各地で開く。母子保健課は「子どもの体を直接診察する医療従事者が虐待早期発見のかぎを握っており、ネットワーク構築を急ぎたい」としている。
◆平成23(2011)年10月13日 神戸新聞
JR西、子育て情報誌創刊 芦屋駅には保育施設も
JR西日本は12日、就学前の子どもがいる家庭を対象にした子育て情報誌を創刊する、と発表した。沿線の若いファミリー層を呼び込む狙いがあるという。
情報誌は「とことことん」。A4判、フルカラー36ページ。21日から約10万部を神戸線(大阪‐姫路)と宝塚線(尼崎‐新三田)の各駅や一部の保育園、児童館などで無料配布する。創刊号は神戸線を特集。公開オーディションでモデルに選ばれた親子が表紙を飾り、沿線の観光スポットや公園、保育施設などを紹介している。次号は来年春に出す予定。また、こうした子育て関連事業強化の一環で来年2月には、JR芦屋駅近くに認可外の保育施設(定員30人)を開設。JR西の子会社が運営し、0歳児から小学校低学年まで受け入れる。“駅ナカ”の保育施設は六甲道、垂水駅などに続いて7カ所目。今年12月からは、JRの定期利用者を対象に月額保育料割引のサービスも始める。
◆平成23(2011)年10月12日 日本経済新聞
里親のおじ・おば、負担軽く 厚労省、震災孤児の親族支援
両親を失った子供をおじやおばが引き取り、里親として育てる場合の生活費の支給額について、厚生労働省は12日までに、血縁関係のない第三者が里親を務める場合と同額に引き上げた。東日本大震災で両親を失った200人以上の子供のほとんどが親族に引き取られているが、親族自身が被災しているケースが多く、経済的支援の拡充が必要と判断した。
厚労省によると、東日本大震災による18歳未満の孤児は、9月末現在で岩手県93人、宮城県123人、福島県21人の計237人にのぼる。里親制度には大きく分けて、祖父母や兄、姉など3親等以内の親族が里親となる「親族里親」と、第三者の市民などが務める「養育里親」がある。震災孤児のほとんどが親族に引き取られており、親族里親に育てられている子供は140人。このうち約3分の1の子供の里親がおじやおばだという。震災孤児を引き取った親族は自身も被災しているケースが多く、経済的に厳しい生活を強いられているとの指摘が出ていた。このため厚労省は親族里親の対象を見直し、扶養義務者でないおじとおばを外すことを決定。9月に省令を改正し、各都道府県に通知した。養育里親には1人目の子供に月額7万2千円、2人目から1人につき3万6千円の生活費を国と自治体が支給する。親族里親への支給額は子供1人当たり月4万7680円が基本。省令改正で、おじとおばは養育里親として申請することが可能となり、認定されれば親族里親よりも多い生活費を受け取ることができる。既に親族里親になった人が養育里親になるには、都道府県が定める研修を受けることが要件となる。親族里親の制度は2002年10月に導入された。きっかけは1995年の阪神大震災。同震災での18歳未満の孤児は68人(97年時点)で、このうち9割近い60人が親族の元に引き取られたが、当時は親族は里親として認められなかったため支援が拡充された。厚労省によると、昨年3月現在、全国で509人の子供が親族里親のもとで暮らしている。今回の省令改正は、東日本大震災の被災地だけでなく、全国に適用される。
◆平成23(2011)年10月12日 神奈川新聞 朝刊
児童虐待防止へ県内統一ルール、黒岩知事や林横浜市長ら4首長の懇談会で一致 /神奈川
知事と政令市長が共通テーマで意見交換する「第37回県・横浜・川崎・相模原四首長懇談会」が12日、県庁で開かれ、児童虐待防止策の強化に向け自治体間における情報共有の徹底を図っていく方向で一致した。虐待が疑われる家庭が転居した際の引き継ぎ方法などを県内で統一し継続的な支援につなげる考えで、2012年度当初の制度化を目指す。
県内の児童相談所による10年度の児童虐待相談対応件数は7466件に上り、過去最多を記録した。各自治体は虐待が疑われるケースの早期発見に努めているが、管轄区域から引っ越した後に支援や見守りが途絶え、問題が深刻化するケースなどが目立っている。転居時の情報提供は、各児相間では国の統一基準で対応しているものの、保健所や一般市町村の母子保健部門ではルール化されていないのが現状。乳幼児健康診断などで子育て家庭に接する機会が多いにもかかわらず、虐待関連情報の提供は各市町村の独自判断に委ねられているという。同日の四首長懇談会で、横浜市の林文子市長が「転居後も継続的な支援が行われるよう、県内で統一ルールをつくっていきたい」と提案。他の首長も賛同し、共同で研究を進める方針を確認した。共有する情報は家庭状況のほか、支援・措置内容などを想定。個人情報の取り扱い基準などを明確化した上で制度化する。
懇談会ではこのほか、地方分権改革や羽田空港を核とする国際競争力強化などについて国に提言することで一致。川崎市を中心に進めている「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区構想」に関する取り組み方針も確認した。
◆平成23(2011)年10月11日 時事通信 官庁速報
子育て支援、体制を強化=大阪市
大阪市は、こども相談センターなどに非常勤職員を増やし、児童虐待防止と子育て支援の体制を強化する。同市では8月に、7歳の男児が両親から虐待を受け死亡する事件が起きており、対策を検討していた。今年度9月補正予算案に関連経費2700万円を計上した。
市は、子どもに関するさまざまな相談を24時間体制で受け付ける同センターに、データ入力などの簡易な事務作業をする非常勤の嘱託職員を1人雇用。正規職員が本来業務に専念できるようにする。また、児童福祉施設に入所していた児童の家庭復帰を支援するため、同センターに2人、市が運営する17施設に1人ずつ非常勤の嘱託職員を採用し、家庭復帰に向けてのスケジュール調整や保護者面談などを充実させる。退所後も、1年程度をめどに定期的に家庭訪問を実施する方針。
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