前途多難な2010年日本プロ野球界!
宮古島キャンプ宿舎のホテルで転落死したオリックス・小瀬浩之外野手(享年24)のお別れの会が、8日、キャンプ練習後に宮古島市民球場で行われた。そして、10日から練習も通常通りに戻す予定になっているものの、小瀬事件の余波は簡単には消えないだろう。
球界で現役選手の自殺を疑われる事件は、1973年3月22日に急逝した元巨人・湯口敏彦氏(享年20歳)以来で、それだけ衝撃度は大きく、計り知れな い。病院で急死、死因は「心臓麻痺」と発表されたのに、いまだに自殺説が根強い湯口事件には、それなりの背景があったからだ。
岐阜短大付高(現 在の岐阜第一高)時代の1970年春夏甲子園に出場、春ベスト8、夏ベスト4に輝いた超大型左腕・湯口は、箕島高・島本講平(南海→近鉄)、広陵高・佐伯 和司(広島→日本ハム)と共に高校球界三羽がらすと呼ばれ、その年のドラフトで巨人に1位指名され、入団した。が、コントロールに難があり、プロの厚い壁 に当たった。そんな中、72年11月に行われたファン感謝デーの紅白戦で大乱調。首脳陣から厳しく叱責され、ノイローゼ状態に。病院で鬱病と診断されて、 入、退院を繰り返すようになった。73年の春の二軍キャンプには参加したものの、状態が悪化して途中で帰京、そのまま入院。病院で急死している。
「巨人の厳しすぎる指導が純朴な湯口をノイローゼにしてしまい、自殺に追い込んだ」という自殺説が、当時のマスコミでは主流で、巨人首脳陣の責任問題が厳しく追及されている。そういう経緯があるだけに、現在でも病死ではなく、自殺説が根強くささやかれているのだ。今回の小瀬選手の場合は、転落死した前日まで練習に参加しており、原因は不明だが、事件の状況から警察サイドでは自殺の疑いが強いと見ているという。それ だけに、オリックス首脳陣、ナインも衝撃を隠せないでいる。一部には家庭の問題に悩んでいたとの未確認情報もあるが、結婚したばかりだけに、信憑性には欠 ける。
小瀬事件の余波は、オリックスだけに止まらない。球界全体に波及している。キャンプ前の1月17日に日本ハム・小林繁投手コーチがまだ 57歳なのに、心不全で急死。キャンプイン早々にも日本ハムで、今度は選手と行動を共にするチーム付きのカメラマンの結核が判明して、感染騒動が起こって いる。そんな最中に起きた小瀬選手の転落死事件だ。
それでなくとも今年の日本プロ野球界は、強烈な逆風が吹いている。開幕カウントダウンのバン クーバー五輪と6月のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会という、国民的関心事の二大強敵が立ちはだかっているからだ。その上に相次ぐ事件。2010 年の日本プロ野球界は前途多難というしかない。
プロ野球選手というより、プレッシャーの耐性問題のように思う。
一説には、オリックスの選手につきまとう怪しい女の存在があるなどとささやかれているが、
自殺する人間は、
「生きていれば良いことがある」
などと思えない。
「生きていれば苦しみが続くだけである」
と思う方が多い。自分は厭世主義なので、自殺を考えることはよくあるし、
自殺相談している内に、相談者に
「そんなに、世をはかなむような考えで、どうするんですか?」
と逆に叱咤激励されてしまうこともある。
諸行無常。近代以前なら、自殺も、延命治療もあまり反対する人はいなかったはずだ。
ただし、近代以降、自殺の原因が個人だけに還元できない問題となっている以上、
自ら命を絶つことは良いことではない。
それが、適者適存などと都合の良い言葉で片付けれられる程、
単純化されてしまうのはとても怖い。
近代以降、民主主義国家において、命は守られなければならない。
ベストエフォートをしてないのに、死を選ばせてしまう、社会システムの問題である。
否、人間関係の問題である。
「社会のせいにするな…」
格差問題など始めとするとする社会問題を、個人の責任に還元しようとする
ネオリベは、まだ自由を食い尽くそうとしている。
このまま、リバタリアンが日本でも増殖しないように、監視しなければ、
諸問題の連鎖による死の解決はできないのである。
物事を単純化するだけではなく、つながりを考えて生きてもらいたい。
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