◆平成23(2011)年10月7日 時事通信 官庁速報
子育て支援のメールを配信 =千葉県松戸市
松戸市は、10月から子育て世代の若い夫婦を対象とした子育て支援メール「こどもあ」の配信を開始した。子育て世代の母親の孤立化防止とともに、子どもの健康や子育てに関する知識の普及を目指す。
市の子育てに関する情報提供はこれまで、新聞に折り込む広報誌とインターネットの子育て情報サイト「まつどあ」が中心だった。しかし、新聞を購読しない世帯が増え、広報誌が行き届きにくくなったほか、「忙しく、ホームページ(HP)を毎回チェックできない」といった声も市民から寄せられていたため、メールで情報発信することにした。 メールは、市の委託で「まつどあ」を運営するNPO法人が配信、同サイトから登録する。各種手当や補助金の案内、子育て応援コラムなどを配信する。コラムは、小児認定看護師が子どもの病気やけがの予防と治療を、保健師らが育児アドバイスを担当する。市は「HPを見なくても携帯メールに情報が入れば、効率的に届けられる。子育て世代へ支援になれば」(子育て支援課)としている。
◆平成23(2011)年10月6日 時事通信 官庁速報
震災孤児の里親を支援 =宮城県
宮城県は、震災孤児を引き取った親族里親を支援するため、里親会を活用した支援事業に乗り出す。現在は児童相談所の児童福祉司と児童心理司が家庭訪問を毎月実施しているが、震災で孤児を急きょ預かることになった里親も多く、孤立を防ぐ観点から、同じ境遇にある里親同士がつながる仕組みが必要と判断した。
子育て支援課によると、県内の震災孤児は9月16日時点で123人に上り、児童福祉施設に入所した2人を除く121人が親族に引き取られている。支援事業では、県や仙台市の里親会が、阪神大震災や新潟県中越地震で震災孤児を養育している里親を招いての研修会や、日ごろの悩みを打ち明ける意見交換会を定期的に開催する。また、経験の長い里親が親族里親を個別に訪問し、県が活動費を支援する。地区ごとの研修会も実施し、気軽に交流できる場をつくって、家庭内の問題として内に閉じこもりがちな状況を打開することを目指す。親族里親は里親会への加入率が低い傾向があるため、里親会への加入も呼び掛ける。これまでの里親支援は、児童福祉司らが年に2~3回程度�家庭を訪ね、養育相談を受け付ける方法が取られていた。しかし、里親の委託や解除を決定する措置権を持つ行政には率直に相談できないという声も多く、里親の数が急増した宮城県には民間などを利用した多面的な支援が必要との声がNPO法人から寄せられていた。県は9月補正予算案に250万円を計上し、相談に乗る里親のための研修も想定する。効果が上がれば里親全般の支援に拡大し、里親が気軽に相談できる環境をづくりを目指す。
◆平成23(2011)年10月6日 わかやま新報
児童相談所の職員蹴る 岩出の女容疑で逮捕
児童相談所の職員を蹴ったとして岩出署は5日、 岩出市水栖の南陽子容疑者 (33) を暴行の容疑で現行犯逮捕した。
同署によると、 南容疑者は同日午後2時25分ごろ、 同市水栖の市立上岩出保育所事務室で、 長男 (5) が一時保護されたことに腹を立て、保護の理由を説明していた中央児童相談所の男性職員 (44) の両足を数回蹴ったという。 職員にけがはなかった。 南容疑者は容疑を認めているという。
◆平成23(2011)年10月5日 毎日新聞 東京朝刊
里親専門職員:全国700施設に 相談・一時預かり--厚労省概算要求
厚生労働省は全ての児童養護施設と乳児院計約700カ所に�里親支援の専門担当職員を配置する「事項要求」を来年度予算の概算要求に盛り込んだ。金額は明記していないが、初年度は全体の4分の1程度を目標に、全都道府県の施設に複数箇所以上配置する費用として約5億円を見込んでいる。里親を巡っては3歳の里子を死なせたとして声優の里親が逮捕・起訴され、その背景に十分な支援がなかったとの指摘もある。専門担当職員は里親を孤立させず、地域での受け皿となることが期待されている。(社会面に関連記事)
児童養護施設などで子供に直接関わる職員は、保育士や、大学で心理学などを専攻した児童指導員がなる。こうした中で里親の専門担当職員は「里親の実情を把握でき、その苦悩を受け止められる対応力や経験」(厚労省)を持つ人物が対象になるとみられる。里親を訪問して相談に乗り、地域で里親交流会を開いたり、里子を一時預かることなども想定されている。里子は実親からの放置や虐待の経験から、あえて問題行動を繰り返すなど「試し行動」をすることも多い。だが、現行の里親の研修は標準で4日間程度。一方で、虐待への対応に忙殺される児童相談所(児相)で専従職員を置くのは一部にとどまり、全国児童相談所長会の今年度調査でも児相の問題点について「里親の悩みへの対応が不十分」との回答が4人に1人に上る。また、虐待などで家庭で暮らせない子供の行き先を施設に託すか里親に委ねるかは主に児相が判断し、里親委託の解除権限も実質的に持つため「児相には本音を言えない場合も多く、児相とは別の相談先も必要」(全国里親会の評議員)との指摘もあった。厚労省は6月の専門家会合で、実親と暮らせない子供について、現行では1割の里親の割合をファミリーホームを含めて3分の1まで高め、施設に専門担当職員を置く方向性を打ち出していた。
□ことば ◇里親制度
親の不在や虐待などで親元で暮らせない子供を、都道府県などの委託を受けた一般家庭の親が育てる仕組み。10年3月現在、認定・登録された里親は7185人、里子は3836人。里親には食費などの生活費や手当が公費で支給される。厚生労働省は子供にとって家庭的な環境が大事として09年度から里親手当を倍増し、事前研修を義務付けた。里子は10年前から約1・8倍に増えている。
◆平成23(2011)年10月5日 毎日新聞 東京朝刊
里親家庭:4分の1、不和で解除 専門家「養育支援重要」 なじめぬ里子も多く
厚生労働省が全ての児童養護施設と乳児院約700カ所に里親支援の専門担当職員を配置するため予算要求した背景には、里親と里子の関係悪化が目立ち始めたことがある。全国の児童相談所(児相)所長会の調査では、養子縁組への移行などを含む委託解除総数のうち、里子との関係がこじれるなどして解除されたのは約4分の1。里子が里親宅になじめないなど養育の難しさが浮かび、専門家は支援の大切さを訴えている。
「今日もおねしょしなかったのか。3日連続だな、えらいな」「うん」。東日本の児童養護施設の施設長と小学生の男児は、最近まで数年間、ほぼ毎日声をかけあってきた。幼いころから長く続いた夜尿が、最近ようやく収まってきた。自閉的傾向のある男児は2歳までの一時期、里親家庭で暮らした。10年以上前、その里親家庭の母親は、実子の子育てが落ち着いたとして、人を介して施設長に相談に訪れ、里子を育てる希望を熱心に語った。「赤ちゃん返りや思いがけない行動も出てくる」。施設長は懸念を伝えたが「うちは大丈夫」と母親は繰り返した。夫婦はほどなく里親に登録、児童養護施設から男児が引き取られた。「体の状態から虐待されている」。男児の通う保育園から児相に通告があったのは約半年後。男児は排せつの習慣が十分身についておらず、いら立った里親にたたかれていた恐れがあった。男児は肛門に指を突っ込んでは家の壁に便を塗り付け「(里親の)期待とは逆の行動」(施設長)を繰り返していた。里親は児相の訪問を拒否。児相は里親の養育委託を解除し、男児は施設で暮らすことになった。おねしょを責めず、しない日数が週1回から次第に増えると、男児の問題行動はなくなった。「自分の好みの子供が来るわけではない。実子でできたことができるわけではない」。施設長は振り返る。
全国の里子は3836人(10年3月)で、10年間で約1・8倍に増えた。児相所長会が10年4~11月に養育委託を解除した647人について調べたところ、養子縁組に移行したり問題なく実親家庭に戻った場合などを除き、里親との関係が不調になり、里子が児童養護施設や別の里親家庭に移ったケースが79人。やはり里親との関係が不調で実親家庭に戻ったのが25人。問題行動など子の側に問題が生じたり、里親の高齢化など里親側の問題が明らかになり施設などに移ったのが52人いた。この156人について里親側の問題点を複数回答で尋ねると、養育の負担感が増したり拒否感が生じたケースが17・2%、里子との関係悪化が16・2%、養育力不足が9・2%だった。里親による虐待やその疑いも6・1%でみられた。里子養育での困難さについては、里親宅への不適応が12・7%、里親への反発・反抗が8・8%�、「子の生活の乱れ」と「情緒不安定」が各5・7%。156人の内訳は0歳1人、1~2歳11人、3~6歳12人、7~12歳50人、13~15歳45人、16歳以上37人で、中学生年齢では里親宅への不適応が22人と半数近くあった。日本社会事業大学大学院の宮島清准教授は「里子を育てる難しさが関係悪化を生み、子供の問題行動につながる。負の循環をできるだけ早く発見し、食い止める支援が必要だ」と話している。
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