まずはじめに、自分で精神状態が良くない方にこの映画はオススメしない。見るのであれば、公開されてからも調子の良い時に見て欲しい。性虐待サバイバーの方にもお勧めはしない。
しかし、逆に自傷、性虐待の実体験がない方には是非見て欲しい。性虐待が、精神的・心理的・ネグレクトの他の3つの虐待の要素を併せ持つ混合型であることなどがリアルにわかると思う。
確かにこの映画のストーリーは、一般的なものではなく、僕が取材や相談を通して聞いた話の中でもかなり重度の中に入る。それゆえに、「間」の重さが鈍痛を伴ってように心を襲ってくる。
抑鬱感や離人感で覆われた空気がリアリティを持ち、さらに家父長的な父親が娘を陵辱し、ネクタイで首を絞めて殺そうとし手いる最中に、DVモードから仕事の電話で「通常モード」へ変わるところなどよく聞く風景である。
この映画は、完全なドキュメンタリーではないのに、ほぼ本気の暴力と過激な性描写が現実と妄想の世界を行き来しているような感覚になる。主人公の水井真希の無表情さ、母親が性虐待を知りながら見て見ぬ振りをしている。
家の中は、「異常」で「カオス」。しかし、学校や電車の中では普通の高校生。ここは、本当に自傷する女の子の典型例ではないかと思う。そこにある「狂気」を肌で感じることのできる人は、「狂気」が感染してしまうような気がする。
自傷は、「リストカット」がケータイ小説である意味ストーリーの中の道具として使われてから、病理が見えにくくなった気がしていた。しかし、この作品の登場で、自傷をする特に思春期の子どもがどれだけ多層化された迫害を家庭や学校で受けているかわかると思う。
このブログを書いている時点で数時間経ってもまだ冷静になれない。もう少し、客観的になれたときにもっと突っ込んだレビューは書こうと思う。それは、近々「終わらない青」公式サイトに掲載される予定である。