◆平成23(2011)年10月18日 時事通信 官庁速報
2000人態勢で児童虐待防止 =名古屋市
名古屋市は、児童虐待を防止するため、妊婦や乳幼児のいる家庭への訪問活動などを行う市民ボランティア500人を募集する。約1500人の民生委員や児童委員らと協力しながら、計2000人態勢で家庭訪問のほか、夜中に一人で出歩いている児童への声掛けや、児童相談所などで子育ての相談を受けるといった活動を行い、児童虐待の防止策を強化する。
月内にも募集を始め、区ごとに研修会を複数回実施して来年度から活動を開始する予定。研修では、長年児童福祉活動を行ってきた先輩ボランティアらが講師となって、家庭訪問の際に気を付ける点や、子どもの体のあざといった虐待の兆候をつかむ方法などを教える。応募者が500人を超えても、研修に参加した人は活動に参加できるようにする。同市では昨年6月に生後6カ月の女児が虐待で死亡する事件が起こっており、多くの仕事を抱える民生委員らとは別に、市独自の制度として見守り活動を専門に行うボランティアが必要と判断した。発案した河村たかし市長は「児童虐待防止への市民の関心は高く、多くの人々に参加してもらえると思う」としている。
◆平成23(2011)年10月17日 時事通信
病院から長女連れ去った母逮捕=児相で一時保護中-茨城県警
手術が必要な長女(1)を病院から連れ去ったとして、茨城県警土浦署は17日、未成年者略取容疑で、母親でペルー国籍の無職モラン・バリオス・リズ・ベロニカ容疑者(27)=栃木県真岡市=を現行犯逮捕した。同署によると、容疑を認めているという。
逮捕容疑は16日午後10時半ごろ、児童相談所で一時保護され、茨城県土浦市内の病院に入院していた長女を無断で連れ去った疑い。同県中央児童相談所によると、長女は心臓に疾患があり、手術が必要にもかかわらず、同容疑者や同国籍の父親(41)は病状を理解せず、今年9月には父親が病院から無断で連れ出したため、児童相談所が一時保護していた。2人は親権を争っていたという。同容疑者が16日、病院を訪れた後、女児がいなくなっていることに病院が気付き同署に通報。真岡市の自宅で長女といるところを逮捕した。
◆平成23(2011)年10月15日 朝日新聞 東京夕刊
児童施設出て孤独感 都、1800人を追跡調査
待っていたのは、孤立感や孤独感を抱く日々だった――。この10年間に児童養護施設などを退所した16~30歳の約1800人を対象に、東京都がその後の暮らしぶりを調べたところ、こんな実態がわかった。退所者の大規模な追跡調査は全国でも初めて。
調査は、虐待や親の病気などで家庭にいられない子どもたちが暮らす施設の退所者らが対象。児童養護施設で暮らせるのは、原則18歳未満まで。3920人のうち、連絡先がわかった1778人に調査票を送付し、673人から得られた回答を8月末、報告書にまとめた。退所後「まず困ったこと」を複数回答で尋ねたところ「孤独感・孤立感」が最多の29%で、「金銭管理」(25%)や「生活費」(同)を上回った。困ったとき、40%は施設職員に相談していたが、誰にも相談しなかった人も16%いた。ほしかった支援策について、半数近くが相談窓口と答え、経済的支援よりもやや多かった。自由記述欄でも孤独感・孤立感を訴えるものが目立った=表。「生活保護を受けている」と答えた18歳以上の割合は7・9%。都内の保護率1・8%(09年度福祉・衛生統計年報)を大きく上回る。元大阪市中央児童相談所長の津崎哲郎・花園大特任教授(児童福祉論)は「退所後も連絡を取れるのは生活の安定度が比較的高い人たち。回答を寄せていない退所者も多く、全体ではさらに厳しい数字が出るだろう。退所後の支援の必要性が言われるようになってきたが、援助の仕組みや態勢はまだ不十分だ」と指摘する。
○「孤独感・孤立感」に関する自由記述(原文のまま、抜粋)
・本当に辛(つら)い人達(たち)は、れんらくとかもとれなかったり、できなかったり苦しんでいると思います。解決する事はできなくても、きいてくれる人がいるだけで救われたのかなと……。退所後のケアが必要だと思います
・退所後~2年間は気持ちが不安定だと思うから、特に助けて欲しい
・施設を出た人は出てから周りとの違いを感じて寂しく思っている人がおおいかもしれないです。一番は相談相手がいない人が多いかもしれないです
・なやみがいっぱいあっても相談できる人がちかくにいなくって困っている、どうしたらいいんだろう。いいかいけつほうほうあったらおしえて下さい
・家族がバラバラ。たまに施設に帰りたいって思う時がある。なんでも相談できる人がほしい
◆平成23(2011)年10月14日 読売新聞
[しまねkey]世代に偏り 里親増えず 県内78世帯登録 養育3割=島根
◇難しいマッチング
両親との死別や虐待、経済的な困窮など様々な事情で、自分の家庭で生活できない子どもたちを家族の一員として受け入れ、愛情を注ぎながら養育する里親制度。県内では78世帯136人が県に里親登録し、35人の子どもが里子として暮らしている。一方で、子どもの保護を求める相談は増えている。10月は里親月間。県内の現状を探った。
□増えるSOS
「あそこの子ども、虐待を受けているかも。保護した方がいいのでは」。県青少年家庭課によると、▽周りの子どもに異変を感じた▽自分の子どもを預かってほしい、などとして児童相談所に相談(養護相談)してきた人は2010年度、1379人にのぼった。04年度(500人)の倍以上だ。景気低迷や核家族化で、生活が苦しい家庭や孤立して虐待する親が増えていることが背景という。しかし、実際に保護される子どもは毎年200人前後にとどまる。保護された子どもの受け皿となる児童養護施設の定員や、里親の登録数が変わらないためだ。さらに、里親に預ける場合、児童相談所が子どもの境遇や里親の希望などから預け先を決めるが、うまくマッチさせるのは難しい。現在、里親登録している78世帯のうち、実際に里子を養っているのは約3割の27世帯という。
□いい加減さを
里親の孤立を防ぐのも重要な課題だ。東京都では今年8月、里子の女児(当時3歳)を虐待死させたとして、里親の女(43)が逮捕される事件が起きた。背景は不明だが、厚生労働省は里親の相談に乗る専門職員を各地に配置する方針を示している。県里親会副会長・御神本(みかもと)啓一さん(77)(松江市東津田町)も定期的に里親たちの話を聞く大切さを指摘する。約40年前、2歳8か月だった女児を里子に迎え、4人の実子と一緒に育てたベテラン。経験の浅い里親たちの相談に乗り、「里子がなついてくれない」などの悩みを聞いてきた。虐待や育児放棄を受けた経験のある里子は、暴言を吐いたり後をついて回ったり、里親を困らせる行動を取る傾向がある。自分への愛情を確かめる「試し行動」と言われ、里親は「実子の時にはこんなことはなかったのに」と戸惑うという。御神本さんは「里親には真面目で完璧主義な人が多く、悩みを抱え込みがち。親だって完璧じゃない。いい加減さと許す心を持つことが大事だよ」と話す。
□若者の協力
県内の里親たちの平均年齢は58歳。親の介護を抱える世代も多い。同課は「幅広い年代が里親登録してくれれば、マッチングの選択肢が増え、より多くの恵まれない子どもを里子として受け入れることができる」と訴える。里親制度に詳しい山本俊磨(としま)・島根大名誉教授(教育心理学)は「里親の条件を満たす人を増やすためにも、若者が安心して家庭を築ける環境づくりを進める必要がある。地域に強いつながりが残っているのが島根の強み。行政に任せるだけではなく地域全体で制度を理解し、子どもを見守ることが大切」としている。
(里親制度) 児童福祉法に基づき、死別や経済力不足、虐待などにより実親が養育できない18歳以下の子どもを、都道府県知事が任命した里親のもとで育てる制度。虐待などの経験がある里子を預かる「専門里親」、里子が実親と生活できるようになるまでか18歳になるまで養育する「養育里親」、3親等以内の親類が育てる「親族里親」、里子と養子縁組する「養子縁組里親」の4種類がある。
◆平成23(2011)年10月14日 読売新聞
児童一時保護めぐり和解 県、両親へ和解金10万円=秋田
北秋田市の当時小学5年の男子児童が児童相談所の一時保護処分を受けたのは不当だとして、両親が県に処分の取り消しと約550万円の損害賠償を求めた訴訟で、両親と県は13日、秋田地裁が提示した和解案を受け入れ、和解が成立した。
双方の弁護士によると、和解案は、児童を一時保護処分にした際、県の手続きにミスがあったとして県が両親に謝罪するとともに、和解金10万円を支払う内容。県は通知書に不備があり、手続きが違法であったことを認めたうえで、「処分自体は県側の正当性が認められている」とし、和解案を受け入れることを県議会福祉環境委員会で既に報告していた。一方、児童の母親は和解成立後、取材に応じ、「和解には応じたが、虐待したわけではないのに、処分取り消しが認められていない。今後も、県に説明を求めていく」と話した。