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この本に出てくる「社会的入院」は日本の悪しき伝統である。ただし、日本社会が少し変わった人々を受け入れる体制は未だにできていない。
社会的入院とは「治療の必要がないのに、社会で生活できないので入院生活している」こと。もっと大ざっぱに言えば「隔離」と同義である。
著者は群馬県太田市の三枚橋病院の開放病棟を例に挙げている。日本最初の全面開放病棟を持った精神病院であり、しかも1970年代にそれを実現した。ただし、元理事長であり精神科医の石川信義氏の力があったからこの病院は成り立った。
太田市で精神病患者が住むためにアパートを借りるために不動産屋を回り土下座をして借りてもトラブルが起き、病院に患者は戻ってくる。それでも彼は地域に根ざした精神障害への偏見を取り除くことに尽力した。
三枚橋病院の後には、べてるの家が出てきたが、この二つのモデルは普及していない。やはり、この二つの精神障害者が地域で暮らすモデルは、医療・行政・福祉・地域住民が連携してできたのである。
ただ、今のままの精神医療が続く限り、特別養護老人ホームが足りないので、精神病院に入院する高齢者が増えてくる。そこで、隔離されていたら、生きていける命が短くなる可能性もある。
内容だけ見ると現状と皮肉混じりで、精神医療批判の歴史を読んでいるようになってしまう。そうではなくて、きっと著者は読者が精神障害への理解をもっと社会が深めることにより、薬漬け精神医療がなくなる、精神科も内科的要因を探るなど今後の解決策への指針が詰まった一冊である。
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タグ: 社会的入院, 精神病院, 統合失調症, 鬱病
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◆平成23(2011)年8月17日 時事通信 官庁速報
虐待通報の時間外対応を民間委託 =岐阜県
岐阜県は、児童虐待の相談件数が年々増加傾向にあることを受け、民間に委託し、休日・夜間にも専門的な知見のある相談員が対応する通報ダイヤルを開設した。社会福祉法人などに委託する自治体はあるが、民間委託は全国初という。事業費は1100万円。
平日の昼間は、従来通り県の子ども相談センターが通報を受け付けるが、同センター職員の勤務時間外となる休日・夜間の通報は、民間の電話相談会社「ダイヤル・サービス株式会社」(東京都)に転送。臨床心理士や社会福祉士をはじめ専門性の高い電話相談員が対応する。緊急性が高い事案と判断した場合は、該当する地域のセンター職員に速やかに連絡し、児童の安全確認を行う。これまで時間外の通報は、庁舎の守衛が受けて担当職員に伝えるか、留守番電話に録音した緊急連絡先にかけ直してもらう間接的な対応を取っていたため、通報者には二度手間だった。他方、2010年度の相談件数は前年度比49%増の672件に上り、終日対応できる体制づくりが課題となっていた。子ども家庭課は「児童虐待に関する地域の関心が高まり、近隣住民や学校、警察などからの相談が増え、早い段階での発見、対処につながっている」と分析。その上で、「通報を受ける側も強化する必要があった。新体制でしっかり対応していきたい」と話している。
◆平成23(2011)年8月16日 佐賀新聞
児童虐待防止へ100万円を補助 県、実施団体募る
児童虐待の根絶を目指す佐賀県は、民間団体が実施する児童虐待防止へ向けた取り組みや意識啓発につながる事業に対して、50万円を上限に全額補助する。事業対象が県全域の場合は100万円で、26日まで実施団体を募集。行政では把握が難しい問題を民間団体がすくい上げ、官民協働で児童虐待の根絶に努める。
児童虐待防止につながる新規事業が対象。県民や各種団体構成員向けの講演会・研修会の実施、チラシやパンフレット配布、相談コーナー開設など、一過性ではない地道な取り組みを想定。地域の“世話焼きおばさん”的な役割を果たす事業提案も期待する。2010年に県内の児童相談所が対応した児童虐待件数は4年連続増の140件で、過去最多となった。全国的にも初めて5万件を超え、重大な社会問題となっている。古川康知事も3期目のマニフェストで「児童虐待の根絶へ対策充実」を掲げている。児童虐待件数が増加している現状を受け、県母子保健福祉課は「虐待根絶は早期発見・早期対応に尽きる。行政の目が届きにくい人に対し、身近な人がかかわれる仕組みを提案してもらい、佐賀から虐待をなくしたい」と話す。問い合わせは同課、電話0952(25)7056。
◆平成23(2011)年8月13日 毎日新聞 地方版朝刊
柏の児相男児連れ去り:母親の少女ら4人、家裁支部に送致 /千葉
児童相談所に侵入し男児(2)を連れ去ったとして母親の少女(19)=成田市=ら計5人が逮捕された事件で、千葉地検松戸支部は12日、母親と仲間の少年3人(いずれも15歳)の計4人を未成年者略取と建造物侵入の非行内容で千葉家裁松戸支部に送致した。また、少女の交際相手のアルバイト、和泉浩史容疑者(29)=成田市=については、同日付で不起訴処分(未成年者略取容疑については告訴がないため不起訴、建造物侵入については起訴猶予)とした。
5人は7月21日午後11時半~同22日午前1時ごろ、柏市の児童相談所に無施錠の窓から侵入し、1階にいた男児を少女の自宅アパートに連れ去ったとして、柏署に逮捕されていた。逮捕時の聴取に対し、少女と和泉容疑者は「男児と3人で暮らしたかった」と容疑を認める供述をしていた。
◆平成23(2011)年8月12日 毎日新聞 大阪夕刊
子供シェルター:10代後半用、京都に関西初の開設 虐待から保護、衣食住提供
親の虐待などで帰る場所がない10代後半の一時避難所「子供シェルター」が今秋、関西で初めて京都府内に開設される。京都の弁護士や元児童相談所長らが運営団体「ののさん」(代表・安保千秋弁護士)を結成し、NPO法人認定を申請中。子供の保護施設となる一軒家を既に確保した。
家庭環境に問題がある子供への支援は児童相談所や児童福祉施設が担う。だが、幼児・児童が多い施設での集団生活に10代後半がなじめないこともあるほか、原則として18歳になると施設を出なければならない。こうした10代後半の子供たちに衣食住を提供し、新生活に向けて多面的に支援する民間のシェルターが04年以降、東京、愛知、神奈川、岡山、広島の5都県でできた。京都では、当面、性的被害に遭いやすい少女に限定し、2、3人ずつを2週間程度受け入れる。京都弁護士会子どもの権利委員会の協力で少女1人に弁護士1人が付き、就職や住宅探しなど将来の自立の方向性を一緒に考える。スタッフが24時間常駐。虐待する親などが乗り込んで来る恐れがあるため、場所は公表しない。当面、近隣府県からも受け入れる。予想経費は年約1500万円で日本弁護士連合会の援助を受けるが、大半を寄付で賄う必要がある。事務局長を務める吉田雄大(たけひろ)弁護士は担当事件に絡み、帰る場所のない子供のためにアパートを借りたこともあるが、個人の活動に限界を感じていた。「都市では、薬物犯罪や性犯罪も少なくない。子供を守り、次のステップへの手助けができれば」と話している。問い合わせはあかね法律事務所(075・252・0086)。
◆平成23(2011)年8月12日 西日本新聞 朝刊
2児虐待死から1年 密室の悲鳴 もう逃さぬ 大阪市は今 児相、消防24時間連携
大阪市のマンションで昨年7月30日、食べ物を長期間与えられず育児放棄された幼児2人の遺体が見つかり、母親が逮捕された事件は全国に衝撃を与えた。あの悲劇から1年-。「ずっと泣き声が続いている」「置き去りにされているのではないか」。地域住民から児童虐待を疑う通報を何度も受けながら幼い命を救えず、厳しい批判にさらされた市は、事件を教訓にどう変わったのか。現地を訪ねた。
若者向けの衣料品店が立ち並ぶ市中心部。目抜き通りに、事件現場の11階建てのマンションはあった。この一室で、元風俗店従業員の下村早苗被告(24)=殺人罪で起訴=の3歳の長女と1歳の長男が長期間放置され、餓死した。住民に話を聞くため、中に入ろうとしたが、オートロックに阻まれた。事件発覚前、住民から通報を受けて訪れた児童相談所(児相)「大阪市こども相談センター」の職員も同じ状況だったのだろうか。事件前の昨年3-5月、通報は計3回あった。職員は5回訪問したが、最後まで被告や子どもには会えなかった。特に3回目の通報で訪問したのが通報の10時間後。後に有識者でつくる市の検証部会で「緊急事態との認識がなかった」と問題視された。事件後、センターには「対応が手ぬるい」など全国から批判の声が殺到したという。岸本弘子・虐待対応担当課長は「保護者や児童の特定ができず、緊急性の高さを認識できなかった。繰り返さないために、手探りでやってきた」と語る。
◇ ◇
真っ先に変えたのは、「通報への即応」と、泣き声通報が集中する「深夜から早朝の対応強化」だ。昨年8月から、全国で初めて市消防局との連携システムを導入した。通報を受けたセンター職員が緊急性が高いと判断すれば、いち早く安否確認のため市消防局に出動を要請するのだ。センター職員だと30分以上かかる場所でも、消防なら市内89署・出張所のうち現場に最も近い所から出動し、平均8分台で到着可能。通報時には現場が分からなかったが、消防隊員が泣き声を聞いた通行人を見つけて話を聞き、特定できたケースもあったという。この1年に出動した62件のうち、午後6時-午前6時の夜間・早朝が75%。それだけではない。センターも昨年9月から、夜間・早朝でも速やかに出動できるように職員(児童福祉司)を自宅待機から宿直体制に変更した。安否確認のため、一足先に現場到着した隊員から、専門知識を持つ職員が引き継げる体制だ。消防局も当初は手探りだった。市消防局の山下毅企画担当課長(50)は「隊員から『近所で火災が発生したら、どちらを優先するのか』など、疑問や不安の声も上がったが、対応マニュアルもできて今は慣れてきた」と説明する。
◇ ◇
ただ別の課題もみえてきた。事件前からの計画でセンター職員は、2年前より約50人増の154人になった。一方で、緊急性の判断には経験が大切だが、全体の経験年数は下がった。「ノウハウを蓄積し組織全体の専門力を上げないといけない」と岸本課長は強調する。現場マンションで住人の一人に話を聞けた。ミュージシャンの外山大輔さん(31)。事件以降、互いに無関心だった20-30代の住人同士があいさつを交わしたり、月1回の交流会を開くようになったという。「前からこういう関わりがあったら、救えたのかなって思う」。変化は市井の人々にも生まれていた。
□大阪2児虐待死
昨年7月30日、大阪市西区のワンルームマンションで幼児2人の遺体が見つかり、大阪府警は死体遺棄容疑で母親の下村早苗被告(24)を逮捕。長女桜子(さくらこ)ちゃん=当時(3)=と長男楓(かえで)ちゃん=同(1)=で、被告は同年6月9日ごろ、2人を置き去りにして部屋を出て帰宅せず、同月下旬ごろに2人を餓死させたとされる。「育児が嫌になった」と動機を供述したとされ、大阪地検は精神鑑定をした上で今年2月、殺人罪で起訴した。
上貞玲賜(広島市児童相談所)
新しい知見があるかというと謎である。この本を読むには精神科にかなり精通していないと理解できないと思う。しかし、岩波氏は、精神科に詳しすぎる人間に対しての警告を書いているようにも見える。
SSRI批判にしても、SSRI単体処方よりもベンゾジアゼピン処方も混在することは多々ある。殺人事件などでの供述などで事件前に精神科の薬を大量に飲んだという供述もあるらしいが、SSRI単体が精神高揚を引き起こしたかは不明な点が多い。
さらに、厚生労働省の調査では平成8年から平成17年でうつ病患者は二倍になっている。これは、自戒を込めて言うとマスコミが「心の風邪」を宣伝したこともかなりの影響を与えている。
また、自殺にはうつ病の罹患率が高いことは否定できないが、失業率との相関関係が見られないのも日本特有の現象である。この辺はもっと社会学的な研究が進まないと見えてこないのだろう。
成果主義も自殺やうつ病の原因とされているが、アメリカとの違いは成果主義でも人生のキャリアコースが決まっていないアメリカと決まっている日本の差であるという。
うつ病という病気は精神科だけで扱いきれない非定型型うつ病・気分障害などもある。様々な機関が連携して、もっと予防を自然に社会の中に組み込む必要があるだろう。
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タグ: SSRI, うつ病, 抗うつ剤, 抗不安薬, 睡眠薬, 精神科, 自殺
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脳(ブレイン)バンクは、ほとんど知られていなかった。しかし、10年以上の歴史が有り、東日本大震災の時に一番最初に僕が気になったのがこの脳バンクのある福島県立大学である。
しかし、被災もせず何とか、脳バンクは維持されているようである。
福島脳バンクは臓器移植とほぼ同じで、生前登録し、ネットワークに病院所属の運営医院医師、または遺族から連絡があり、生前登録と遺族への書式確認を経て献脳となるらしい。
まだ脳を研究のために寄贈するという考えが浸透して異なために献脳の数は少ない。
ただ、脳の構造上、それを死後でも良好な状況で研究することによって何百万人もの命が救えるのかもしれないのだ。
本書は脳の専門知識がないと何回極まりないかもしれない。また、「心の病の脳還元主義かよ」と一笑に付す人もいるだろう。けれども、この著者達は環境や心理要因との因果関係も解読しようとしているのだ。そのためには、脳だけでなく脊髄などの検出も行われているようである
精神疾患の脳の変化は、罹患している統合失調症やうつ病において向精神薬・抗精神病薬を投与した後の脳の様々な物質の変化などを見ます。もちろん、患者の実感も聞きます。
まだまだ発展段階である日本の脳バンクではあるが、海外ではずっと前から進んでいる。そして、少なくともこの脳バンクが日本の自殺予防や防止には役立つと僕は思っている。
だからこそ、今後もこの脳バンクの動きを注目したいし、取材に行きたいと思った。
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投稿情報: 23:02 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
タグ: うつ病, セロトニン, バンク, ブレイン, 心の病, 献脳, 精神疾患, 精神科, 統合失調症, 脳
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タイトルからすると精神科医が精神医療批判をしているような感じを受けるが、編集者が修正しているのか、過激なところはオブラートに包まれている。
昨今の抗うつ薬批判に関しては、批判されているSSRIに関して正しい知識を提示していると思う。また、似非精神医療への批判も非常に明快である。
ただし、その明快さが誤解を生む内容かもしれない。岩波氏の筆致はいつにも増して冷静というより感情を込めている部分もある。
精神医療批判に関して惑わされている人は一読の価値ありだろう。
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投稿情報: 21:49 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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この本は、発達障害を一から理解できる本ではない。 特に前半の部分で生物学的な話が続くがミラーニューロンの話などなんの説明もなく出てくる。
しかし、後半の杉山氏の臨床事例は圧巻である。 多分、特にEMDRの実践は興味深かった。 僕は、十年前にこの治療方法をPTSDに応用できるということで、治療方法に詳しいと言われる 精神科医にも会ったが、眼球運動を使って過去の辛い記憶を心の奥底から引き剥がすという難易度の高い 治療法は日本の精神医療レベルで誰も実践できないだろうと言っていた。
確かに、杉山氏も相当な鍛錬をしたと思う。さらに、全ての発達障害・精神疾患系のトラウマに有効ではない。 しかし、心的外傷によって発達障害の症状がひどくなるのは事実である。 ならば、その心の大きな傷を取り除くことによって彼らの未来に光明が差し込むなら、 もう少し積極的に取り込むべきだろう。 また、認知行動療法も万能ではないとはいえ、もっと広まっていいと思う。
杉山氏の論の進め方は臨床経験から来るので生々しい。もちろん、発達障害という名前を乱用させたとの指摘もあるのは知っている。 ただし、発達障害の軸を入れると理解しやすくなる症例が多いのである。 発達障害の素因は誰もが持っている。それを杉山氏は「発達凸凹」と呼んでいる。 この素因が多因子になった場合、生活に支障が著しく出る・出たと思われる場合は専門家の診察を速やかに受けるべきである。
もちろん、児童精神科医も少なく、トレーニングが十分でない臨床家も多い。でもだからこそ精神医療に依存し過ぎずに発達障害の子どもや大人を支える支援作りができる時期でもある。 発達障害は、様々な症状が程度もかなり振り幅が大きいので、診断もまちまちである。発達障害でも早期(就学前に)介入すれば、社会性を維持し続けている子どもをこの十年で何人も見て行きた。
それと同時に発達障害や自閉症の日本語の表記から想起される誤ったイメージこそが、当事者を苦しめてしまう現実もある。 ある程度簡単な発達障害の本を5冊程度読んでからこの本を読むことをオススメする。 特に僕が「記憶の巻戻り」と呼んでいるタイムスリップ現象は発達障害でも知られていないがよくある現象なので熟読して欲しいと思う。
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投稿情報: 13:54 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
タグ: PTSD, アスペルガー症候群, スペクトラム, トラウマ, 発達障害, 自閉症
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「9割〜」系で「腰痛」が出ているのを知って驚いた。
最近は首コリ、肩コリなどを自分で治せるシリーズが多い。
被災地で足湯が好評なように東洋医療は心のコリもほぐす。
しかし、それは一人では厳しい。この本は、腰痛に悩む人が整骨院などに通いながら読んで実践する本である。特にうつ病など心の病の人にはマッサージされながら話をされることによって心のコリが専門家よりも緩和されることがよくある。
なぜなら、心のコリは精神科医やカウンセラーには期待値が高いために構えて話をしてしまう人が多い。一方、心の専門家に少し話を聞いてもらえるだけで楽になることがある。
それは、うつ病などの人は概して体の緊張感が高く、さらにPCなども使うことが多いので、心も体もつながって緊張してしまう。
「筋肉が緊張すると血管や神経が圧迫されて痛みが出る」
この一文は意外に知らない人が多いと思う。しかも腹筋や背筋をすることでは腰痛は悪化するなど、今までの常識のようなものが科学的にくつがえされる。
ただし、心の病のある人は誰か他人に体を触られるのが嫌な人もいるので、本書で体をほぐす練習をしてもいいと思う。あくまでひとつの治療法の一例であることは肝に命じて欲しい。万人に効く治療法は存在せず、個別性を考慮した治療が大事だと思う。
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投稿情報: 12:44 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
タグ: うつ病, マッサージ, 整体, 整骨, 腰痛, 9割
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『発達障害当事者研究』(医学書院)の共著者が多様性の必要性を説く。
アスペルガー症候群で知識として世界を認知する綾屋さんは、自身の中学校の周囲のコミュニケーションを言葉の無法地帯と形容した。アスペルガー症候群は様々な症状があるが、彼女は、表情と発話との一致までの時間がかかるので、たくさんの友だちとコミュニケーションを取るには、瞬間的に表情と発話される言葉を一致させ、それに応答するのに困ったことを綴っている。
アスペルガー症候群は、情報として世界を認知できても、情感として捉えるまで時間の掛かる人が多い。それゆえに自分の発話した言葉の情報すら自分で認知不可能だった。それを回避できたのがワープロの登場だ。ワープロからパソコンの流れは、アスペルガー症候群の人たちの救いになったことは間違いない。文字を打ち込む動作も規則的で、言葉の曖昧さを消すことができたからだ。
このように綾屋さんが世界とつながらない悩みを持つ一方で、熊谷さんは「つながりすぎる」苦悩を吐露している。
例えば、ひとつの筋肉の緊張するとすべての筋肉が緊張してしまうなどの身体的なつながり、母親とリハビリに励むうちに、母親の理想通りに反応してしまうつながり過ぎ感覚に苦しめられたという。
それは、常に「健常者」意識し、どんどん自分でできることが多くなっても、健常者のイメージが肥大化しそれに追いつかなくなってしまったのだ。
このように障害をもっていても個々人の差異をそのままに同時にその差異を超えた共感を得るために必要な実践的知識かつ、生きづらさ系の人たちに対する処方箋として本書は役立つだろう。
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投稿情報: 19:04 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
タグ: アスペルガー症候群, 生きづらさ, 生きにくさ, 発達障害, 脳性麻痺
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8月10日に千葉の柏市で長子を育児放棄で殺してしまった夫婦の報道で世間が賑わった。また今日になって母親は「育児放棄がバレるのが怖くて隠した」などと供述しているという。
この手の事件が起きると世間の目は児童相談所の落ち度へと向かう。3回も自宅に行っていたのになぜ救えなかったのか?という疑問がいつも怒りとして浮かび上がってくる。
しかし児童相談所は、子供を守る警察ではない。たしかに2005年に児童福祉法が原則が変わった。
「子どもへの虐待対応には、保護者の制限を伴うような行政行為が行われる可能性があるため、そうしたいわば強権を適正に運用できるのは、都道府県及び政令指定都市(実務的にはこれらの自治体が設置する児童相談所)が専らとする」
となったのだ。ただし、虐待が疑われる通告が年間で昨年度で約44000件あり、児童相談所の職員が一人あたらい抱える案件が80件から100件という現実がある。また、総務省の調査で児童相談所の職員が一人前になるのに3年〜4年必要と回答されているのに対し、児童相談所に配属された新人の児童福祉司が離職する平均年数が3年〜4年。つまり一人前になったら燃え尽きてしまうのが現状だ。
これを回避するためにこの本のような少し詳しい子供虐待の本を読んで欲しい。特にネグレクトは「子供の虐待とネグレクト」と欧米では併記されるのが普通など30年にわたって虐待臨床に関わる著者の経験がわかりやすく解説されている。
日本では、身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・ネグレクト(育児放棄)のように記載されるためネグレクトは少ないように思えるが、身体的虐待の次に多いのがネグレクトであり、そして最近増えてきているのが心理的虐待なのだ。
しかし、性的虐待が2020年までに性的虐待は社会問題化していくと指摘する。専門家でも性的虐待は、第二次性徴後であり、幼児などは被害に遭わないという誤った思い込みがある。僕がほかの児童精神科医など臨床家の本を読んだり話を聞いても性的虐待増加の指摘が増えてきた。
この他にも「DV(ドメスティックバイオレンス)を見た子どもは心理的虐待を受けたとみなされる」など専門家以外も正しいこども虐待の知識と現状を知って欲しい。
西澤氏は、最近の講演会で「児童虐待は、社会現象であるとの認識を持って欲しい」と述べたと新聞記事で読んだ。まさに子ども虐待・児童虐待は「社会現象」なのであり、責任を児童相談所や親だけに帰着させて他人ごととしてとらえる現状認識を変えなくては、虐待は減らないし、表面化しない虐待で苦しむ子どもたちは声を殺して泣くしかないのである。
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投稿情報: 18:24 カテゴリー: 書評(justgiving) | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
タグ: ネグレクト, 児童相談所, 子ども, 心理的虐待, 性的虐待, 育児放棄, 虐待, 身体的虐待
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